区画整理で取り壊し!?昔ながらの駄菓子店「五時良屋」をレポ【仙台・太白区】

子どもの頃、学校帰りに駄菓子店へ行くのが楽しみだった——そんな人にぜひ訪れてもらいたいのが「五時良屋(ごじらや)」。仙台市太白区にある、昭和の雰囲気がただようレトロな駄菓子店だ。

創業から26年経つ今も地元の子ども達に愛される憩いの場だが、近い将来、区画整理により廃業が決まっているという。

「五時良屋」を取材し、その歴史を振り返りつつ、廃業の経緯や時期、思いなどを店主の浅沼かつ子(あさぬま・かつこ)さんに聞いてきた。

「五時良屋(ごじらや)」の店内、駄菓子のラインナップは?

「五時良屋」は、JR太子堂駅から南西へ約400m、地下鉄南北線富沢駅から東へ約700mの場所にある。

仙台の駄菓子屋ごじらやの外観

昔はこういう駄菓子店がたくさんあった

がちゃがちゃ

店頭には中身がすごく気になる「ふるいふるいカード」ガチャ

レトロ感が満載の入口。開けて……いいのかな?

入口のすりガラス越しには店内の様子をうかがうことができないため、ちょっぴりドキドキしながら中へ。

恐る恐る扉を開けると……

ごじらやの店主の画像

お待ちしてましたよ

取材に応じていただいたのは、1995(平成7)年の創業以来、ひとりで店舗を切り盛りしている店主の浅沼かつ子(あさぬま・かつこ)さん。

話は後ほど聞くとして、まずは気になる店内をダイジェスト的にレポート!

仙台の人気駄菓子屋の店内画像

店内はこんな感じ! 

ラックには所狭しと駄菓子がレイアウト

駄菓子屋の値札画像

手書きの値札(?)もレトロ感があって素敵

ひとつ5円の商品もある

ひと口サイズの駄菓子がずらり。こういうのよく買ったな〜

懐かしの「ウメトラ兄弟」。昔は緑のパッケージだったような

なぜか無性においしく感じる「らむね」も販売

鬼滅の刃の駄菓子の画像

「鬼滅の刃」「ドラゴンボール」など今風な駄菓子も

消費税はなし。子どもでも金額の計算がしやすい

筆者自身、子どもの頃は近所の駄菓子店に通ったクチだが、いつしかどの店舗も閉店したり、他のお店に変わってしまったり。時の流れを寂しくも感じていた。

子どもだけでなく、筆者のような”かつての子ども”の心をもぎゅっととらえる魅力が「五時良屋」には詰まっている。

五時良屋で一番人気の駄菓子は意外なアレ!

我が家の子ども達も駄菓子が好きなのだが、ここでふと「昔と今とでは、子どもの味の好みは変わったのだろうか?」と疑問が浮かんだ。

そこでかつ子さんに聞いてみたところ、「昔とは全然違うね」という返答が。

かつ子さん
かつ子さん
昔の子どもはスナック菓子が好きだった。でも最近の子はスナック菓子より、おつまみ系をよく買っていくんだよね。『焼いたら』とか『イカ』とか。

筆者チョイスのおみやげ

ほかに人気のある駄菓子は「当たりつき駄菓子」だそう。

ひとつ10円で、最高100円の当たり券がついてくるため、お得感があるのだろう。

かつ子さん
かつ子さん
「何円当たった!」ってよく叫んでるよ。
サッカースクラッチ

一番人気の「サッカースクラッチ」

試合結果と対戦相手によって当たり金額が異なる。イタリアに勝つと20円当たり!

「5時になったら帰りましょう」だから「五時良屋」

ごじらやの看板画像

「五時良屋」という店名の由来は、「良い子は5時(17時)になったら帰りましょうから来ている」とかつ子さん。

店内に鎮座するゴジラ。こちらのゴジラとは関係ない

しかし実際の営業時間は14時から17時半。子ども達から「17時閉店では早すぎる。もっと遅くまで営業してほしい」とリクエストを受け、学校と相談したうえでの時間設定になっているそうだ。

ごじらやの営業時間

祝日、学校の長期休み期間は通常より1時間早い13時オープン

もともとこの場所では、かつ子さんご夫婦がふたりで大衆食堂を営んでいた。ラーメンや定食を提供し、弁当の配達までもこなしていたという。

店内には、食堂の名残である調理場が残っている

経営は順調だったが、かつ子さんが体調を崩したのをきっかけに食堂をたたむことに。

当時52歳だったかつ子さんは家族から「もう仕事はやめて、家でゆっくりして」とすすめられたそう。

かつ子さん
かつ子さん
でも、ずっと朝から晩まで働いてきて、急に何もするなってほうが無理だよね。

なぜ食堂からいっぺん、駄菓子店をはじめたのだろう。

かつ子さん
かつ子さん
子どもは大人よりも融通が効くから、具合が悪くて休んでも許してくれるだろうと思ったんだよね。実際に駄菓子屋をはじめて子どもと一緒にわいわい過ごしていると、私自身も元気をもらえる。駄菓子屋をやって正解だったね。

ごじらやの店内画像

かつ子さん
かつ子さん
26年もやってると、当時の子どもが結婚してその子どもと一緒に買い物にくるんだよ。他にも、『運転免許を取ったよ』って車を見せにきてくれたり、恋人と一緒に『今度結婚するんだ』って報告に来てくれたり。そういうときは、この子も成長したな、やってて良かったなって心から思うね。

区画整理で取り壊し、そして廃業。「もうしばらく続けたい」

「五時良屋」が位置する太白区大野田周辺は区画整理が進められており、「五時良屋」の建物も取り壊しが決まっている。しかしかつ子さんによると、時期はまったくの未定なのだという。

かつ子さん
かつ子さん
区画整理の話自体は17、8年前から出ていたんだよ。でも2011年に東日本大震災が起こってその話が一旦ストップして。またおととし頃に再開するという連絡を受けたんだけど、今度はコロナの影響で遅れてるとかで。だから、もう少し営業できそうだね。

この周辺にもかつては数軒の駄菓子店が営業していたそうだが、今では「五時良屋」のみとなっている。

仙台の駄菓子店ハトヤの画像

仙台市地下鉄の長町一丁目駅近くには「ハトヤ」という駄菓子店がある

かつ子さん
かつ子さん
儲けが出るような商売じゃないから、営利目的では続かないだろうね。26年間もやってればいろいろあったし、時にはうちもやめちゃおうかと思うこともあったけど、やっぱり子ども達と過ごす時間はかけがえのないもの。だからここまで続けられたし、これからもできる限りは続けていきたいと思うよ。

昔は至るところにあった駄菓子店だが、今となっては仙台市内にも数える程度しか存在しない。

「五時良屋」も区画整理によって廃業することが決定しているが、できるだけ長く残っていてほしいものだ。

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「五時良屋」
・住所:仙台市太白区大野田1-6-50
・TEL:022-248-6337
・営業時間:14時00分~17時30分(土曜、学校の長期休暇中は13時00分~17時30分)
・定休日:日曜日
・最寄駅:JR「太子堂駅」、仙台市地下鉄南北線「富沢駅」

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