仙台・長町『Cafeこもれび』のチーズケーキが、まるでアートのような美しさ
着々と再開発が進む長町に、SNSで話題のカフェがある。バリエーション豊富なチーズケーキが人気を呼んでいる『Cafeこもれび』だ。これまで手がけてきた数は、なんと60種類以上!
味はもちろん、まるでアートのようなチーズケーキを求め、足しげく通うファンも多い。これまでにどんなチーズケーキを、どんな思いで生み出してきたのか——気になるあれこれを取材すると、遠方からでも通いたくなるさまざまな理由が見えてきた。
「長町南駅」から徒歩5分、長町の住宅地に佇む
Cafeこもれびは、地下鉄南北線「長町南駅」の東出口から徒歩5分ほどの場所にある。
仙台駅から地下鉄で1本、最寄駅から徒歩5分とアクセス抜群の立地だが、大通り沿いからは外れた閑静なエリアだ。
茶色のドアを開けて中に入ると、オーナーの近藤まゆみ(こんどう・まゆみ)さんが迎えてくれた。
レパートリーは60種類以上!チーズケーキ専門のカフェ
2018(平成30)年8月24日のオープン以来、Cafeこもれびではじつに60~70種類ものチーズケーキを生み出してきた。
常時提供しているのは4種類で、そのうち「贅沢はちみつチーズケーキ(640円/税込、以下同)」と「ベイクドチーズケーキ(530円)」の2種類がレギュラーメニュー。
残りの2種類(週末には3種類になることも)は季節ごとに入れ替わる。取材したのは9月上旬で、この日は「プラムのチーズケーキ(530円)」と「ほうじ茶のチーズケーキ(530円)」がメニューにラインナップしていた。
プラムのチーズケーキは、「八百屋さんでおいしそうなプラムと出会って」思いついたメニューだという。
「フルーツ系のケーキは出会いをもとに商品化することが多いです。9月上旬まで出していた『シャインマスカットのレアチーズケーキ』も、産直で買ったシャインマスカットを使って作りました。常に”この時期ならどんなケーキが作れるかな”とアイデアを練っています」と近藤さん。
チーズケーキにかける情熱がとにかく半端ではない。
限定メニューは2~3週間ほどで入れ替えていて、SNSで随時発信している。
「お客さまに『こんな食材もチーズケーキになるんだ』『こんなチーズケーキが食べられるなんて、ここに来て良かった』と感じてもらえるチーズケーキ作りを心がけています」
チーズケーキはコンビニでもよく見かけるスイーツのひとつだが、決してコンビニでは買えない“ご褒美感”のあるチーズケーキを作り続けていきたいそうだ。
これまでメニュー化された限定チーズケーキ
これまでとくに人気のあったメニューをいくつか伺ったので、色鮮やかな写真とともに紹介しよう。
◎これからの時期にぴったりな「モミジのチーズケーキ」
「モミジのチーズケーキ」は、水面にモミジの葉っぱが散ったようなイメージで作ったそう。にんじんやパイナップルジュースなどをブレンドし、試行錯誤を繰り返して本物に近い色のモミジゼリーを作り出した。3層に分かれており、グラデーションが美しい。
◎梅雨時もハッピーになれそうな「あじさいのレアチーズケーキ」
美しい青色が特徴のハーブ「バタフライピー」とハイビスカスで作った寒天をあじさいに見立てたもの。土台はレアチーズケーキになっていて、爽やかなお味が楽しめるそう。
◎春らしさを満喫できる「桜のレアチーズケーキ」
桜のリキュールで鮮やかなピンク色を表現し、上には桜の塩漬けが乗っている。春の訪れとともにぜひ味わってみたい。
こだわりのコーヒーと一緒に実食タイム
Cafeこもれびの看板メニューである「贅沢はちみつチーズケーキ」と「ブレンドコーヒー(530円)」をいただいたので、実食レポートをお届けする。
「蜂の巣を割ったら中からはちみつが出てきた!」
そんなシチュエーションをイメージした「贅沢はちみつチーズケーキ」は、太白区にある大年寺山(だいねんじやま)でとれた貴重な日本蜜蜂のはちみつを使用して作られている。
はちみつをかけることを計算して、ケーキ自体の甘みはやや控えめ。
はちみつのまろやかさと、レアチーズケーキの酸味と、レモンジュレの爽やかさが絶妙にマッチしてすごく食べやすく、幸せになれるお味だった。
Cafeこもれびのブレンドコーヒーは浅煎りの「若葉」と深煎りの「深緑」の2種類。若葉は酸味があって柑橘系のチーズケーキに合うように、深緑は濃厚なベイクド系に合う深みとコクを感じられるようブレンドされている。
「珈琲まめ坊(青葉区)のオーナーさんに何度も私のチーズケーキを食べてもらって、その味に合うブレンドにしてもらっています」というほど、コーヒーにもこだわりがあるそうだ。
「最初は郊外の古民家カフェを目指していた」
Cafeこもれびは住宅街に溶け込むような立地にあるため、ゆったりと落ち着いた時間を過ごせる。それが魅力と感じる反面、たどり着くのに少し迷ってしまうかも……とも感じた。
なぜ長町の住宅街にお店を構えたのか伺うと、「元々は、郊外の平屋をリノベーションして、古民家カフェを開こうとしていたんです」と話してくれた。
古民家をリノベーションして、アンティーク風のインテリアを揃え、庭ではハーブや花を植える。そんなイメージを膨らませており、すでに自宅にはアンティークミシンも用意していたそうだが、「ご縁があって、この場所にお店を建てることになりました」と言う。
以前は接骨院だった建物を”DIO”してカフェに作り変えた。DIOとは「Do It Ourself」の略で、ひとりでなく「私たちみんなで作りましょう」という意味。
元々トールペイントやパッチワークの経験があり「物作りは好きだった」近藤さんが、友人や仲間に協力してもらってお店を作り上げた。
「もちろん失敗もたくさんあって。たとえばカウンターテーブルを切っていたときは途中で工具の充電が切れてしまって、よく見ると凹凸があるんです(笑)」と近藤さん。
「カフェこもれび」は老若男女問わず、チーズケーキ好きが集まるお店
客層としては、「平日は30~50代の女性が、休日は20代くらいのカップルが多い」と近藤さん。
かわいらしい内装から「男性は入りにくいのでは?」という印象を持っていたが、意外にも(?)そうでもないとのこと。
「カフェ巡りが好きな男性のお客さまも多く見えますね。若い男性がネクタイをつけて、お仕事の合間にいらっしゃったこともあります。年齢や性別は関係なく、チーズケーキ好きの人がいらしてくれているようです」
どうしても店内飲食に抵抗がある場合、テイクアウトがおすすめだ。「贅沢はちみつチーズケーキ」以外のケーキはすべてテイクアウトに対応しているため、まずは店の雰囲気を視察し、日を改めてイートインにチャレンジしてみてはどうだろうか。
いわゆるカフェタイムと呼ばれる、13~16時頃がとくに混み合うそう。ゆっくり過ごしたい場合は開店直後の12時くらいか17時前後がおすすめだ。あまり遅い時間になるとチーズケーキが売り切れてしまう場合もある。
看護師からカフェオーナーの道へ
「定年後にカフェを開くのが夢だった」と話す近藤さんの前職は、看護師。お菓子作りが好きで、カフェ巡りを趣味としていたため、当時はいろいろなカフェで好きなチーズケーキを食べ比べしながらアイデアを溜めていった。
しかし2011年に東日本大震災を経験し、「明日のことなんて誰にもわからない」と実感。48歳のときに看護師を辞め、経営のノウハウなどを学んだ末に「大好きなチーズケーキだけにエネルギーを集中させたい」という思いでチーズケーキ専門カフェをオープンした。
「本当はもっとチーズケーキの種類を増やして、お客さまにもっと楽しんでもらいたい。でもひとりでやっているので、できる範囲で頑張るだけですね」
通販など配送の問い合わせが増えていることから、「今後は遠方のお客さまにもCafeこもれびのチーズケーキを食べていただけるよう、配送に対応するシステムを検討しています」と今後の展望を語ってくれた。
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この記事を書いた人
岩崎尚美
仙台を拠点に活動するフリーライター。生まれも育ちもだいたい仙台です。仙台の魅力をお伝えするため、頑張ります!