「仙台市民は牛タンを食べないって本当?」アーケードで231人に聞いてみた
「仙台といえば、牛タンでしょ?」
出身地を問われて「仙台」と答えれば、返ってくるのは定型文のようなこのひと言……。
心の中では「いやいや、そんなに食べないし……」とは思っていても、確かに「仙台=牛タン」というイメージもあながち間違いではない。街中を歩けばそこかしこに牛タン専門店があり、週末には多くの店で長い行列ができる。人気店ともなれば、4〜5時間待ちなんてことも珍しいことではない——。
これが仙台の日常であり、外から見たイメージでもあるゆえ、こう言われても致しかたないのかもしれない。牛タン以外にも「笹かま」に「ずんだ餅」に「喜久福」に、仙台にはほかにもいっぱいあるというのに……。
だからといって仙台市民が牛タンを日常的に食べているかは、はなはだ疑問である。実際、「仙台人はほとんど牛タンを食べない」というのは、“仙台あるある”として語られることもしばしばなのだ。
しかし、である。もしかしたらそれは噂にすぎず、多くの仙台市民が日常的に牛タンを食べているのではないか? この実態をリサーチするため、クリスロード商店街で老若男女231人にインタビューしてきた。どうなの? 本当に食べないの? 教えて、仙台しみーん!
仙台市民は本当に牛タンを食べないの?
今回のアンケートでは、スーパーで買ったり焼肉店で食べたりするのはカウントしない。純粋に「牛タン専門店で牛タンを食べる頻度」をヒアリングしてみた。
回答欄には「週に1回」「月に1回」「月に2〜3回」「2ヶ月に1回」「半年に1回」「年に1〜2回」「食べない」「その他」の8パターンを用意し、それぞれ当てはまる場所に丸いシールを貼ってもらった。「ほとんど食べない」の定義としては、半年に1回未満とする。シールのカラー分けは以下の通り。
○10代・20代:赤色(レッド)
○30代:青色(ブルー)
○40代:黄色(イエロー)
○50代以上:緑(グリーン)
さっそくスケッチブックを持って声をかけはじめると、多くの人が足を止め、「うーん」「どうだろう?」と言いながらシールを貼ってくれる。仙台のみんな、まじで優しすぎるですぞ。
その後もインタビューすること7時間。足が棒になりながらも聞きまくり、トータル231人にペタペターっとシールを貼ってもらった。果たしてその結果は……?
○週に1回:2人(0.9%)
○月に1回:15人(6.5%)
○月に2〜3回:6人(2.6%)
○2ヶ月に1回:34人(14.8%)
○半年に1回:63人(27.4%)
○年に1〜2回:73人(31.3%)
○食べない:35人(15.2%)
○その他:3人(1.3%)
週に1回は食べるツワモノもいたが、インタビュー前の予想と変わらず、「半年に1回(27.4%)」「年に1〜2回(31.3%)」が6割近くを占めている。「食べない(15.2%)」も含めるとおよそ7割以上にのぼることがわかり、確かに仙台市民は「牛タンをほとんど食べない」ことが明らかになった。
なんとなく予想はついていたが、仙台市民としては悲しい現実である。ぐすん……(泣)。
ほとんど食べないなか食べるタイミングとしては、「県外から友人や仕事関係の人が仙台を訪れたとき」がほとんどだった。仙台流の“お・も・て・な・し”として、牛タン専門店に連れていくのは、ある意味あるあるのようだ。
そのほかにも、「誕生日などのお祝いごとで」「自分へのごほうびに」という回答があったことから、牛タン専門店に足を運ぶのは、何か特別な理由があったときが多かった。
とはいえ、半年に1回、または年に1〜2回食べる人のほとんどは牛タンが大好き。それでもこの程度しか食べない理由は、「値段が高い」「半年や年に1回食べるくらいがおいしい」「牛タン専門店がたくさんあるからこそ食べない」「観光客で混んでるから行きたくない」とのこと。
年代別に見てみると、とくに10代・20代(赤色のシール)は値段が高いことが食べない理由のようだ。それもそのはず、専門店で牛タンを食べるとなると安くても1500円、高いと3000円を越える場合もあり、金銭的に余裕がなければ日常的に食べるのは難しい。もう少し安ければもっと食べられるのに……。
少々意外だったのは、牛タンをまったく食べない35人(15.2%)のなかには、牛タンが嫌いな人が多かったこと。少なからず匂いや食感などにクセのある食べ物なので、苦手な人も多いようだ。
少し話がズレてしまったが、仙台市民は牛タンをほとんど食べないことが分かった。これは決してネガティブなことではない。なぜならば、地元民がご当地グルメを食べないのは、仙台の牛タンに限った話ではないはずだからだ。とはいえ、ご当地グルメによっても微妙な差はあるはずなので、今後は「ずんだもち」や「笹かま」などについてもリサーチしていく。
・調査場所:クリスロード商店街内
・有効回答数:231人
・調査期間: 2019(令和元)年5月12日(日)
・調査方法:街頭調査
この記事を書いた人
つきの萩子
東京の雑誌編集部で3年働いたのち、仙台と萩の月とほやが好きすぎてUターン。まだまだ知られていない仙台のディープなネタを発掘します。