仙台駅から終電で小牛田駅まで寝過ごしたらどうすればいい?寝過ごしてみた
宮城県を南北に走る「JR東北本線」。
通勤時間ともなるとそれなりの乗車率を誇る路線だが、そんな東北本線になんともやばい“魔の列車”が存在する。23時29分に仙台駅を発車する「小牛田駅」行きの列車だ——。
小牛田駅といえば、仙台駅からおよそ50キロほど離れた場所にある。深夜まで仙台駅-小牛田駅間を結ぶ点では便利な反面、ひとつのミスでユーザーをどん底へつき落とすリスクが潜んでいるのだ。どゆこと?
この時間帯となるとアルコールが入った状態で乗るユーザーも少なくない。岩切駅あたりで降りようとしていたが、寝過ごして小牛田駅まで行ってしまった、なーんてことも十分に考えられる。ひぇっ。やばっ。
そうなっても誰かが車で迎えに来てくれるのであれば問題ないが、この列車が小牛田駅に到着するのは0時18分……。
もちろん、この時間帯に仙台駅まで戻れる列車なんか存在しないので、自力で帰るか小牛田駅の周辺で始発までの時間を過ごさなければならない。まじ、むり……。
迎えにきてもらうよう家族や友だちに連絡しても、よほどの箱入りか陽キャ以外は、自分でなんとかするほかないはずだ。世知辛いですなぁ(筆者は友だちがいないど隠キャ)。
そこで、23時29分仙台発-小牛田駅行きの列車に乗車。寝過ごして小牛田駅で途方に暮れてしまった場合の過ごし方を紹介する。
小牛田行きの列車内の様子を観察
取材当日は金曜日ということもあり、仙台駅には飲み帰りであろう人がたくさんいる。
ホームから列車内をひととおり見てみると、予想以上に多くの客が乗っている。
つり革を掴みながらフラフラ立っているビジネスパーソン。立ちながらおにぎりを食べている大学生らしき女性。見つめ合いながら会話を弾ませる40代くらいのカップル。
なかには、仙台駅を出発する時点ですでに寝ている70代くらいのおじぃちゃんもいる。大丈夫か?
ついに小牛田駅行きの列車が発車した。筆者は先頭車両の1号車に乗車し、小牛田駅に到着するまで、しばし車内を観察してみた。
【23時33分】
東仙台に到着するも、1割くらいしか降りず、まだ座れずに立っている人がたくさんいる。仙台駅を出発する前におにぎりを食べていた女性がふたつ目のおにぎりを頬張っている。よほどお腹が空いていたんだろう。
【23時37分】
岩切駅に到着。多くの人が降り、ほぼ全員が座れるくらいになった。岩切駅を出発すると、30代くらいの女性が眠りに落ちてしまった。この女性は、果たして起きるのか? それとも小牛田駅までゴーしちゃうのか?
【23時41分】
陸前山王駅に到着。周辺にあまり住宅がないのか、ここで降りる人はほぼいなかった。ちなみに、出発前に寝ていた70代くらいのおじいちゃんと、先ほど眠りに落ちた30代くらいの女性は引き続き寝ている。
【23時43分】
国府多賀城駅に着いた。さっきまで寝ていた70代くらいのおじいちゃんが、ふらつきながらも慌てて降りていった。乗車率はすでに7〜8割ほどに減ったが、それでも多くの人が乗っている印象だ。
【23時47分】
塩釜駅に到着。ここで2号車に移動してみることに。1号車よりも乗客は多く、10人ほどが立っている状態だ、あくびをしながら睡魔と戦っている男性がひとりと、すでに眠りに落ちている40代くらいの男性が4人もいる。
【23時56分】
松島駅に到着後、次は3号車に移動して車内を観察してみる。空席も目立ち、乗車率は3〜4割ほど。シートに両手をついて寝ているぽっちゃり気味のおじさん、腕を組んでキメキメで寝ている20代後半くらいの男性。ほかにも数人が眠りに落ちていた。
【23時59分】
愛宕駅ではほとんど誰も降りず。最後方の4号車に移動してみると、もうすでに15人くらいしか乗っていない。向かい合わせのボックスシートを独り占めし、足を伸ばして寝ている大学生くらいの男性。床にバッグと飲みかけのココアを置きっぱなしにし、爆睡モードに突入である。
【0時03分】
品井沼駅に到着。数人が降りたくらいで、状況はほぼ変わらず。
【0時08分】
鹿島台駅に到着。足を伸ばして寝ていた熟睡ボーイがすっと起き、周囲を見わたして再度おやすみなさい。まだ降りる駅ではないのだろうか。
【0時13分】
松山町駅に到着すると、熟睡ボーイが降りていった。次はいよいよ終着駅の小牛田駅だが、4号車だけでも4人(ひとりがうたた寝中)が乗っている。ほかの車両に移動すると、3号車には6人(うたた寝:ふたり)、2号車には7人(うたた寝:4人)、1号車には14人(うたた寝:3人)が乗車中だ。
まとめると、終着駅の小牛田駅を前にトータル10人ほどが寝ている状態。なかには、ほかの駅で降りるはずだった人もいるはず……だよね?
そして0時18分。小牛田駅に到着。例外になく列車内にいた全員が降りた。
真夜中の小牛田駅に到着……
さて、ここからが本題である。
この記事では、寝過ごしてうっかり終着駅の小牛田駅に降り立った人向けに、始発までの過ごし方を紹介するのが目的だ。
始発まではおよそ5時間ほど。“始発までの時間潰し”として選択肢に挙がりそうな、「ネットカフェ」や「カラオケ」などがあれば問題ないが……
近づいてみたが、この時間に「ごめんくださ〜い」と入りこんでいけるような感じではない。さらに駅周辺を散策すると、ビジネスホテルを発見した。
そもそも、ホテルに泊まるだけのお金を出せるなら、タクシーで帰ってしまえばいいはずだ。「どこかに宿泊する」という選択肢は捨て、もう少し散策してみることに。
このマップによると小牛田駅周辺には複数のスナックがあるようだ。スナックなら朝までやっていてもおかしくはない。ということで、この地図を頼りにスナックを目指す。しかし……
カラオケバーを含め、4軒すべてが閉店済み。人っ子ひとりいない小牛田駅周辺なら、そりゃそうか……。「スナックで朝まで過ごす」という選択肢も諦め、再度、放浪の旅に出る。
すると、「バシャン」と何かが水を弾くような音がした。「びくん」と体を震わせつつ音がしたほうを見ると……
小牛田駅前はものすごく暗いうえに静かで、ひとりだと控えめにいっても怖いのだ。
気を取り直して散策を続けると、奥にある大通りの手前に小牛田駅らしからぬ明るい道を発見した。大通りは最後の希望として残しておき、明かりに誘われてその道を進むことにする。
だが、その望みもすぐに消え去ることに……。
よ〜く見ると、奥のほうになにやらグリーンの光が見える。これはおそらくファミマに違いない。これまでコンビニすらなかった小牛田駅周辺だが、歩いておよそ10分ほどの場所にファーストコンビニがあった。
しかし、である。ホッとしたのもつかの間、イートインコーナーなどはいっさいない。さすがに朝まで立ち読みをして始発を待つわけにはいかないので、「コンビニで時間を潰す」という選択肢も消え失せてしまった。とほほほほぉぉぉ。
諦めて、きた道を戻り、大通りに一抹の望みをかけてみる。
あまりの暗さに恐怖を感じつつも、足を止めてもどうしようもないのでとりあえず直進してみる。
諦めて歩みを進めると、またしてもグリーンの光が目に飛び込んできた。
「またファミマか〜。どうせイートインコーナーもないんだろうな〜」と意気消沈しながら歩いていると、ファミレスらしき建物が視界に入ってきた。もしやおまえは……?
小牛田駅から徒歩15分くらいの場所に「ジョイフル」があった。
も は や 神。ま じ で 神。
夜風で冷え切った体を温めるため、雑炊をオーダー。
いつもは好んで雑炊なんか食べないけれど、このときばかりは心の底からおいしかった。雑炊、好きかも。
いまどき珍しい24時間営業のファミレスだが、深夜にお腹が空いた人だけでなく、こうやって寝過ごして途方に暮れている人の強い味方にもなってくれるのだ。ジョイフル、最高。
時刻は深夜1時51分。仙台駅行きの始発列車までは3時間ちょっとある。神様には大変申し訳ないが、ここで時間を潰させてもらうことにする。本当ごめんなさい。
小牛田駅まで寝過ごしたらジョイフル一択
もし寝過ごして小牛田駅まで来てしまった場合は、おとなしくジョイフルに行くことをおすすめする。理由はいたって簡単。その時間に開いているのはジョイフルしかないから。
降り立ったことのない小牛田駅に内心はビビっていましたが、このご時世、なんとかなるもんなんですね。でも、「ここの終着駅はやばい!」みたいな情報がありましたら、どしどし教えてください。みなさんに代わってだてらぼが寝過ごして調査します。お待ちしております!
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・調査場所:小牛田駅周辺、ジョイフル宮城小牛田店
・調査期間: 2019(令和元)年11月1日(金)深夜〜11月2日(土)早朝
この記事を書いた人
幸谷亮
仙台が大好きすぎて「だてらぼ」を立ち上げたひと。雑誌編集部→雑誌編集部→2016年に独立。雑誌編集部時代に身につけた取材力を武器に、みなさんの気になるネタを全容解明します。