ブックカフェ「メアリーコリン」で癒しの時間を満喫してきた~仙台本屋探訪~

仙台市内には雰囲気のある小規模書店やブックカフェがたくさんある。そんな本屋のかずかずを巡ってみようというのが、この企画「仙台本屋探訪」だ。

第一弾として紹介する「BOOK WITH CAFE MARY COLIN(ブックウィズカフェ メアリーコリン)」もそのひとつ。絵本を楽しみながらカフェメニューをいただけるのが、メアリーコリンの魅力だ。なぜ絵本なのか、どう選書しているのか。店主の阿部さんに話を聞いた。

仙台のブックカフェ「メアリーコリン」のアクセス

メアリーコリンは、仙台市バス小田原2丁目バス停から徒歩3分ほどの場所にある。電車でいく場合は、JR仙石線「榴ヶ岡駅」から徒歩12分ほど。

バス停より北方向の路地に入って真っすぐ進むと、スーパーの手前に赤い屋根のこぢんまりとした建物が見えてくる。駐車場はないので、車でいく場合は近隣にあるコインパーキングを利用するのがおすすめだ。

仙台のブックカフェの外観

メアリーコリンの入口

メアリーコリンの入り口

木の看板に手書きの文字がかわいらしい

古本から新刊まで。ずらりと並ぶ絵本は800冊

仙台のブックカフェの店内

棚やテーブルに並ぶ絵本たち

ガラス戸を開けて店内に入ると、さまざまな書架や机に絵本たちが並ぶ。

席数は6席で、お店の家具や器などは店主の阿部さんが「居心地の良いもの」「使って心地良いもの」を選んでいるという。

メアリーコリンのインテリア

古材に鉄の脚をつけたテーブルや、古い椅子を張り替えて使っている

ブックカフェの店内インテリア

店主の阿部さんに、絵本の紹介をしていただく。メアリーコリンにある絵本には古本と新刊書があり、古本のなかには絶版本となった貴重書もあるという。

絵本は全部で約800冊!

展示架は時期に合わせたテーマを設け選書

絵本は阿部さんが「いいと思う絵本」だけを揃えているという。取材日は母の日が近いということで、選書コーナーは「お母さんの棚」になっていた。このなかからおすすめの絵本3冊を紹介していただいた。

子供が好きな絵本の画像

阿部さんに選んでいただいた3冊

店主おすすめの絵本

1冊目は『かあさんのいす』

『かあさんのいす』の主人公の少女は母と祖母の3人暮らしだが、火事で焼け出されてしまう。そんな少女が明るく毎日を過ごしながら、家族みんなで力を合わせてお金をためて大きな椅子を買うまでのお話。鮮やかな水彩画が印象的だ。

2冊目は『かぜのこもりうた』

『かぜのこもりうた』は迷子になった象の坊やが、母さんと再会するまでのお話。「母さんと会えた時の喜びに満ち溢れた絵が特に好きです」と阿部さん。

3冊目は『ねたふりゆうちゃん』

『ねたふりゆうちゃん』は気仙沼市出身のイラストレーター・阿部結(あべ・ゆい)さんの作品。お母さんに抱っこをしてもらえるのがうれしくて、いろいろなところで寝たふりをするゆうちゃんが微笑ましい。子どもの頃、両親に構ってもらいたくて寝たふりをしていた思い出がよみがえる。

素材にこだわったカフェメニュー

店内には絵本が並ぶスペースの横に、カフェスペースがある。ここでは絵本を読みながら(一部不可)、珈琲、紅茶などのカフェメニューを楽しめる。

メアリーコリンの店内

ゆったりくつろげるカフェスペース

取材の合間におすすめのメニューをお聞きし、ケーキと紅茶を注文した。阿部さんに選んでいただいたのは、「オートミール入り南瓜(かぼちゃ)のケーキ」と紅茶の「テテロード」。南瓜ケーキは360円、紅茶はカップで注文すると560円。セットで50円引きになる。

南瓜ケーキはしっとりした生地に南瓜の風味と甘味をしっかりと感じる一品。メアリーコリンの自家製焼菓子は、国産小麦粉や無精製の砂糖など出来るだけ体にいい材料を使っている。

「テテロード」はベルガモットの香り高いアールグレイ。スパイシーな香りが鼻を抜け、体の芯からリラックスできる。

いただいたケーキと紅茶のほかに、おすすめの食べ物とドリンクを聞いてみた。すすめていただいたのは「味噌ころりん」。塩竈市にある老舗の味噌醤油醸造元「太田與八郎商店」の味噌を練り込んだ丸い焼き菓子だ。

ドリンクのおすすめは「珈琲」と「甘酒ミルク」。珈琲は無農薬の豆を使ったオリジナルブレンド。甘酒ミルクは暑くなってくるこれからの季節にこそ夏バテ対策として飲んでほしいという。「甘酒は夏の季語ですから」と阿部さん。

親子連れだけでなく一人でも楽しめる

メアリーコリンには子どもの絵本を買い求める親子連れのほかにも、大人が自分のための絵本を求めにくることも多い。カフェスペースで珈琲だけを楽しんで帰る男性客もいるそう。

「若いお父さんが子どもの絵本を選びながら、自分が昔、読み聞かせてもらった思い出を懐かしく振り返ったりされていますよ」と阿部さん。メアリーコリンは、幼少時の記憶を思い出させてくれる場所でもあるのだ。

コロナ禍にはじめた絵本パック

メアリーコリンでは、コロナ禍に際して絵本パックの販売を開始した。現在、絵本パックには子どものための「子ども絵本パック」、大人のための「おたのしみ絵本パック」、毎月定期で絵本が届く「絵本パック定期便」の3コースがある。

「子どもの絵本パック」は絵本とともにパズルやすごろくなどの絵本雑貨がセットになって自宅に届く。購入前に子どもの好きなものや興味のあることについてヒアリングがあり、その時の子どもの状況に応じた絵本を送ってもらえる。値段は1500円からで、予算にも合わせてもらえる。

「おたのしみ絵本パック」はお客が答えた質問の回答を元に阿部さんが「その人」のための選書をしてくれる。コースは値段別に3種類。1500円コース(絵本1冊)と3000円コース(絵本2~3冊)、冊数指定コースがある。

「絵本パック定期便」は、毎月1回定期で絵本が届くというもの。離れたところに住む祖母から孫への贈り物にもなっている。

どのコースでも注文してから絵本が届くまでの「時間」も楽しむことができる。

メアリーコリンの店名の由来……

もともと公共図書館の司書だった阿部さん。仕事や自身の子育てのなかで多くの絵本に触れているうちに、絵本の魅力を知り、絵本書店を開きたいと思うようになったという。

「毎日を忙しく過ごす人たちが、一時でも日常から離れ、寛ぎ、自分を取り戻す場所をつくりたい」とも思い、カフェを併設した。

絵本を購入するてといねいに包んでもらえる。「自分用の絵本でも、自分への贈り物のような気持ちでお持ち帰りいただけたら嬉しい」と阿部さんは語る

メアリーコリンの店名の由来はバーネットの小説『秘密の花園』の登場人物であるメアリーとコリン。ふたりにとって、花園は「癒しと再生」の場所だった。「この店がそんな場所になるように」との思いが込められている。

筆者が購入した『赤い蝋燭と人魚』と『くまとやまねこ』

子どもの本を選びたい方も、懐かしい絵本に再会したい方も、多忙な日々のなかでほっとする時間がほしい方もぜひメアリーコリンに足を運んでみてほしい。絵本と、おいしい自家製焼菓子や飲み物が「癒しと再生」を運んできてくれるだろう。

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『BOOK WITH CAFE MARY COLIN』
・住所:仙台市宮城野区小田原1丁目9-28
・TEL:090-2991-0700
・営業時間:11時00分~19時00分(L.O.18時30分)
・定休日:火曜日・水曜日
「ホームページ」

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