仙台駅の日本酒自販機2件で「駅せんべろ」を実現〜ゆらゆら飲み歩き録 Vol.2〜
酒好きの筆者が、飲み歩いた記録をただただ記していく連載「ゆらゆら飲み歩き録」。
第1回目の「仙台駅周辺の絶対潰れてほしくない昼飲みスポットを巡る」に続く今回は、仙台駅にある日本酒の自販機2ヶ所をゆらゆらと飲み歩いてみようと思う。
仙台市民にとってはすでに見慣れた光景かもしれないが、これは人を惹きつける、ロマン・ベンディング・マシーンだ。
本記事では、この2ヶ所の日本酒自販機の場所や使い方など、それぞれの特色を紹介していこう。
1ヶ所目:エスパル仙台・東館「伊達のこみち」内
仙台駅東口改札を出てすぐ、エスパル仙台・東館「伊達のこみち」内にひとつ目の自販機がある。
「伊達のこみち」は、数多くのショップが集まる仙台駅周辺の中でも、ここでしか買えない食品や工芸品が集まっているエリアだ。
日本酒の自動販売機は、その中の「藤原屋 みちのく酒紀行」の店頭にある。
「藤原屋 みちのく酒紀行」は、1916年創業の業務用酒類卸売業「カネサ藤原屋」が運営する酒類の小売店だ。2016年のエスパル仙台・東館開業の際から店を構えており、オープン当初から日本酒の自動販売機は注目を集め続けている。
自販機の日本酒の値段は1杯100円(30ml)。あくまで試飲のための自動販売機なのだが、少しずついくつもの種類のお酒を楽しめることで人気があるようだ。
眺めていると、キャリーケースを引いた旅行客はもちろん、買い物帰りとおぼしき地元客もひっきりなしに訪れては100円玉を自販機に投入している。わたしもさっそく飲んでみることにしよう。
この日のラインナップはこの5種類。ひとつずつ飲み口や特徴が書かれているので選びやすい。
この中で、この店舗でしか買えない限定酒「虎哉(こさい)」をまずは購入してみることにした。伊達政宗の幼少期の家庭教師「虎哉宗乙(こさいそういつ)」に由来するこの「虎哉」は、藤原屋のオリジナル商品。いわゆるプライベートブランド商品だ。
自動販売機のそばには使い捨てのプラスチックカップがある。忘れずセットし、100円玉を入れてボタンを押すと……
このように日本酒が出てくる。30mlだが、100円にしては十分すぎる量だ。
ひと口飲むと、ふくよかでどことなく桃の果汁のようなフルーティーな風味が広がる。あくまで試飲なので、このカップを持って歩き飲みなどはできないし、店内に立ち飲みスペースなどもない。自販機付近でちびちび立ち飲みしながら楽しもう。
店内には「木の屋石巻水産」の缶詰などいくつかのおつまみが売っているが、こちらも店内で開封することはできない。自販機で試飲して気に入った日本酒を購入する際に、合わせて買ってみると良いだろう。
日本酒のラインナップについて店員さんに聞いてみると、「ひとつの瓶がからっぽになり次第、次にどの日本酒を入れるかその都度チョイスしている」とのこと。一度に5本すべてが入れ替わることはないが、常に同じラインナップでもないため、気になる日本酒があればすぐに試飲するのがおすすめだ。
この後、宮城県気仙沼市の「水鳥記 特別純米酒 ひやおろし」と、青森県弘前市の「六根 純米吟醸 ルビー 生」も購入して味わった。
3種類の日本酒の飲み比べがたった300円でできるとは……。
2ヶ所目:仙台駅・新幹線中央改札内
仙台駅にはもう1ヶ所、日本酒の自動販売機がある。場所はJR仙台駅3階、新幹線の中央口改札内だ。新幹線に乗る予定がなくても、券売機で入場券を買えば改札内に2時間滞在できる。
この自販機は2017年7月、中央改札内の店舗一帯がリニューアルしたことに伴い設置された。日本酒の自販機が鎮座するのは、牛タン専門店「青葉亭」の隣だ。
この自販機には定番の名酒から仙台駅限定のレアな日本酒まで、東北の地酒が6種類設置されている。
ラインナップは時々変わるらしいが、仙台駅限定の「仙台澤政宗」や青森の「田酒(でんしゅ)」が入っているのはよく見かける。いずれも旨みが強くキレのいい名酒で、それはそれは毎日だって飲めることだろう。
購入するには、1杯につき1枚の専用メダルを使用する。メダルは1枚300円で隣にある「青葉亭」のカウンターで購入するシステムだ。
複数飲みたい場合は2枚、3枚と購入することとなる。今回は2枚購入し、「田酒」と「出羽桜」を飲もう。
メダル購入時にもらえるプラカップをセットし、メダルを投入すると……
けっこうな量だ。おそらく90mlほどはあると思われる。ひとつ目の自販機が30mlで100円だったので、単価としては同じだ。
この自販機はあくまで「テイクアウト」用であり、自販機スペースでの立ち飲みはできない。座れるスペースに移動したり、持ち帰ったりするなどして飲もう。プラカップには持ち運びに便利な蓋もついてくるので、ちょっとした移動も安心だ。
ちなみに「青葉亭」では、イートインのほかにもおみやげ品を購入できるので、すぐに食べられるジャーキーと、ここで買った日本酒を片手に新幹線に乗り込む……というワザもできそうだ。
300円でこの量はかなり飲み応えがある。2杯目の「出羽桜」を飲み終える頃には、もうほろ酔いの後半くらいになっていた。
仙台駅の日本酒自販機でせんべろ
この日、日本酒に使ったお金は900円だった。900円で、5種類の日本酒を楽しめる。しかも、一口ではなく充分に酔える量を飲んで。これはもう「せんべろ」と呼んでいいだろう。
他の地域であればきちんとしたお店でしか飲めない本気の地酒だが、さくっと気軽に飲めるのがこのふたつの自販機の大きなメリット。
缶チューハイや缶ビールでなく、100円、300円でうまい日本酒が飲める……。そんなぜいたくができる街に住む幸せを、力いっぱい堪能するのが地元愛というものではないだろうか。
そう自分に言い訳しながら、今日も財布から小銭が消えていくのだった。
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この記事を書いた人
タケダ シューコ
仙台を食べ尽くしたい