仙台駅周辺の絶対潰れてほしくない昼飲みスポットを巡る〜ゆらゆら飲み歩き録〜

2020.08.29

仙台駅周辺で昼飲みがしたい

メトロポリタン仙台から仙台駅を見下ろす画像

お酒を飲むのは楽しい。とくに、昼に飲む酒は格別だ。ねぎらわれている気持ちにも、祝福を受けている気持ちにもなる。社会を構成するあらゆる人に感謝の気持ちを一方的に捧げたくもなる。

しかし仙台駅周辺で昼から飲める店はそんなに多くはない。

「ああ、真昼間からひとりでも飲めて、食べ物もおいしく、おまけに仙台駅からあまり離れないで済むお店はないものか……」

お伝えしたい。「あります」「あるのです!」と。今回めぐった3店は、ひとりでも気軽に立ち寄れて、しかも仙台駅から0分。新幹線のちょっとした待ち時間などにも入れる店だけだ。

何があっても絶対潰れて欲しくない、地元ライターがおすすめする名店たちの魅力をぜひ知ってほしい。

1軒目『仙臺驛日本酒バル ぷらっと』

時刻は昼の12時。仙台駅の改札を出て、人の合間を縫うようにして階段を降りる。仙台駅の1階にはカフェやラーメン店、郵便局などが軒を連ねるが、酒飲み、とくに日本酒好きが目指すべきはこの「日本酒バル ぷらっと」だ。

ぷらっとは松島町で酒販店を営む「むとう屋」が運営する飲食店で、特筆すべきは日本酒の品揃えの豊富さ。「宮城県酒造協同組合」に加盟する全25蔵の銘柄の日本酒を飲める。居酒屋ではあまり見かけないレアな日本酒も多い。日本酒好きには垂涎ものだ。

ぷらっとのメニュー画像

豊富な飲み比べセット

店内は明るく、ひとりでも入りやすい。メニューを見ると、何種類もの飲み比べセットが用意されている。季節ごとのセットはもちろんだが、同じ銘柄の違う種類(たとえば、吟醸酒と大吟醸、生原酒、ひやおろしなど)のセットもあり、微妙な違いを楽しめる。

おつまみを含めた飲み比べセットもあり、こだわりのあるおつまみをいろいろ楽しめるのもうれしい。セットは1000〜2000円前後と手頃な価格設定で、昼間はチャージも発生しない。

そば、丼などのランチも絶品なので、昼はランチ客が多い。もちろん、まわりの客が食事をしていたとしても、わたしはかまわず日本酒を頼んでしまうのだけど……。

ぷらっとの初夏の飲み比べセットの画像

初夏の飲み比べセットと、おつまみ2品(カレー、ガーリック枝豆)で1750円

「日本酒バル ぷらっと」でひや酒に口をつける昼下がり。ひとさじの背徳感とともに「今日はこれで優勝間違いなし」といった感情が芽生える。昼酒タイムの素晴らしいスタートにふさわしい1軒である。

『仙臺驛日本酒バル ぷらっと』
・住所:宮城県仙台市青葉区中央1-1-1 仙台駅1F
・営業時間:11時30分~21時30分 (料理L.O. 20時30分 ドリンクL.O. 21時00分)
・定休日:年中無休
『ホームページ』

2軒目『塩竈すし哲S-PAL仙台店』

次に向かったのはS-PAL仙台の地下レストラン街。このエリアはイタリアンや和食など多種多様な店が連なる。そのなかで、入口からして“ちょっと違う”オーラをまとっている店がある。それが「すし哲」だ。

塩釜に本店を構える「すし哲」の味を、唯一仙台市内で味わえるのがこの「塩竈すし哲S-PAL仙台店」。県外客も多い人気店の味を、利便性の高い仙台駅構内でいただけるぜいたくを満喫しようではないか。

仙台駅のすし哲の日本酒とお通し画像

まずは日本酒にぴったりのお通し(わかめと貝の和え物)で一杯

寿司はアラカルトで注文するのも良いが、旬の地元食材が盛り込まれたプレートを頼むのがおすすめ。「七ヶ浜物語」「松島物語」「塩釜物語」「すし哲物語」と4種類あり、価格は1720円〜3980円。いずれもバリエーション豊富な海の幸を楽しめる。

ドリンクはビール、焼酎と種類があり、日本酒は宮城のものを中心に取り揃えてある。
日によってはあまり市場に出回らない日本酒もあり、この日は石巻市の「日高見・虹の応援ラベル」が入荷していた。

仙台駅のすし哲の日本酒のメニュー画像

限定出荷の大吟醸

注文した寿司が目の前で出来上がっていく様子を眺める。カウンター越しに大皿を受け取ったら、幸せな「どれにしようかな」が始まる。寿司と日本酒のこと以外、他になにも考える必要はない。まぐろからいく? それとも甘エビにしようか……。

仙台駅のすし哲の寿司の画像

「松島物語」はお手頃価格ながら中とろやウニも入った食べ応えのある一皿

気づくと皿から全ての寿司が失われている。が、悲しむ必要はない。丹念に出汁が取られたお椀と、自家製の季節のシャーベットがわたしを待っている。

日本酒の最後のひとしずくとさっぱりと甘いシャーベットで満足すると、「もっと仕事頑張ろう」という気持ちが湧いてくる。それは、いい仕事をしてくださった職人さんへの敬意もあるし、またここに食べにくるためにお金を稼ごうという気持ちでもあるのだ。

『塩竈 すし哲 S-PAL仙台店』
・住所:宮城県仙台市青葉区中央1-1-1 エスパル仙台店 B1F
・営業時間:11時00分~23時00分(新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、8月1日からは22時まで)
・定休日:不定休
『ホームページ』

3軒目『あさひ鮨 仙台駅店』

仙台駅の3階は大人になってもすこし高揚する。地元民が使う在来線改札は2階か地下で、3階は新幹線改札の入り口。3階の新幹線中央改札の近くには「牛たん通り」「すし通り」と呼ばれるエリアがある。

どこか違う場所、ハレの場所への入り口であり、普段と違うことをしている気持ちになる。いずれも味に満足できる名店ばかりが並ぶが、ふらっと訪れて気軽に昼飲みを楽しみたいなら「あさひ鮨」がおすすめだ。

あさひ鮨は気仙沼に本店がある創業50年を超える名店。ふかひれ寿司と煮穴子が名物として知られている。「あさひ鮨」ではアラカルトで好きなネタを気軽に食べたい。一貫100円台のネタも多いので、気になるものをどんどん頼もう。

あさひ鮨 仙台駅店の寿司の画像

左からいわし、えんがわ、煮穴子

寿司ネタは1つひとつに食べ応えがあり、伝統の煮つめが塗られたふわふわの煮穴子は絶品。煮穴子を目的に「あさひ鮨」に行ってもいいくらいである。

この日はイワシが旬とのことで注文すると、これがうなるほどのおいしさ。脂ののったとろけるイワシのあまりの威力にひれ伏し、何度も握ってもらった。

あさひ鮨 仙台駅店の日本酒メニュー

定番から通好みの品まで

日本酒のラインナップは「安定」と「冒険」のバランスが素晴らしい。「いつものあの味を」「ちょっと変わったものを」。どちらの需要にも応える。

満足できるまで寿司を食べて1〜2杯の酒を飲んでも4000円程度で済むことが多い。三陸の海の恵みに感謝するばかりだ。

あさひ鮨 仙台駅店
・住所:宮城県仙台市青葉区中央1-1-1 (JR東日本仙台駅3F)
・営業時間:10時00分~22時30分 (LO.22時00分)
・定休日:なし
『ホームページ』

仙台駅0分で至福の昼飲みを

おいしい物を食べ、おいしい酒を飲む。多幸感とともに気だるさに包まれるが、仙台駅から0分の店なら心配する必要はない。

とりあえず改札を通り、いつものホームに向かおう。
昼から酒を飲んだというだけで、いつもより人に優しくできる気がする。職場から家へ帰る人の多い時間帯、見知らぬ人を心の中でねぎらいながら、赤い顔を隠さず帰途に着くのであった。

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この記事を書いた人

タケダ シューコ

タケダ シューコ

仙台を食べ尽くしたい

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