『変なホテル仙台 国分町』って何が変なの?部屋?料金?気になることを聞いてきた
いかにも気になる名前のホテルが2021(令和3)年9月1日、仙台市国分町にオープンした。その名も『変なホテル仙台 国分町』。『変なホテル』としては20軒目、東北初進出となる同ホテルには、ここにしかない“変”がふんだんに盛り込まれているという。
果たして『変なホテル仙台 国分町』は何がどう“変”なのか──? 謎を解き明かすため、だてらぼ編集部は取材へと向かった。
『変なホテル仙台 国分町』へのアクセス
『変なホテル仙台 国分町』は仙台市地下鉄「広瀬通駅」から徒歩1分、JR仙台駅から徒歩15分の場所にある。
仙台フォーラスから広瀬通を渡り、ディズニーストア仙台東映プラザ店の並びにあるので、見かけたことがある人も多いはずだ。
一番町四丁目商店街に正面入り口がある
入り口からはどう“変”なのか、うかがい知ることはできない。さっそく中へ入ってみよう。
『変なホテル仙台 国分町』はあっと驚く最新技術がてんこ盛り!
まず出迎えてくれたのはプロジェクションマッピング! あまりの美しさに、思わず「おおっ」と声が出てしまうほど。後から入ってきたお客も「おお、すげえ!」と驚いていたので、初めて入る人はみんな同じ反応をするのかもしれない。
地元民にお馴染みの「瑞鳳殿」も映し出される
どうやら、映し出される映像には何通りかあるようだ。静止画ではなく常に動いているので、ついつい足を止めて見入ってしまう。小さな子どもが壁の前に立って、楽しそうに映像を指差している姿が印象的だった。
ずっと見ていたい気持ちを抑え、さらに先へ進むと待っていたのは……
えっ、誰??
通常、ホテルのフロントといえばスタッフが「いらっしゃいませ」などという言葉とともに出迎えてくれる。が、今目の前に立っているのはスタッフではなく映像だ。しかも侍と恐竜。恐竜に至っては、もはや人ですらない。
「こちらは東北初進出、非対面のホログラムチェックインシステムです」──。慣れないシステムに早くも戸惑う筆者を案内してくれたのは、『変なホテル』統括マネージャーの遠藤正巳(えんどう・まさみ)さんだ。遠藤さん、どうぞよろしくお願いします!
――普通のホテルのフロントとはだいぶ違いますが、これは?
『変なホテル仙台 国分町』では、全部で5体のキャラクターがチェックインのお手伝いをします。機械の前にお客さまが立って操作を始めると、キャラクターがそれに応じて声がけをする仕組みです。
侍や忍者のほか、恐竜、執事がラインナップ
画面に従って端末を操作すると、キャラクターが声でサポートしてくれる
外国語にもばっちり対応
――人間のスタッフさんは一切出てこない?
基本的にはそうですね。ここでお支払いまで済ませていただくと、ルームキーと領収書が出てきます。それを持ってお部屋に上がっていただきます。
何か困ったときはスタッフがすぐに駆けつけてくれる
――『変なホテル』といえば、恐竜ロボットや人型ロボットがフロントに立っているとお聞きしていますが、『変なホテル仙台 国分町』はそのどちらでもありませんね?
「変なホテル京都八条口駅前」では恐竜ロボットが…… 【画像提供:変なホテル】
「変なホテル東京浅草橋」では人間ロボットが対応してくれる 【画像提供:変なホテル】
はい。ロボットからさらに進化して、現在は最新技術を駆使した映像を活用するシステムになっています。『変なホテル』は“へんてこなホテル”という意味ではなく、“変わり続けるホテル”という意味なんですね。こういった映像であれば、さらに変化し続けることができますから。
――ということは、今後も変わっていく可能性がある?
はい。いずれ、キャラクターが変わったりといったことはあるかもしれません。このキャラクターたちもエリアによって違って、例えば隻眼(せきがん)の侍は仙台 国分町でしか見られません。
『変なホテル仙台 国分町』でしか会えないレアキャラだそう
――システムは同じでも、地域ごとに特色を持たせているわけですね。他にも、仙台 国分町ならではの特徴はありますか?
「杜の都」をコンセプトとしており、ホテル全体のカラーは緑色を基調にしています。また、七夕の短冊をイメージした若草色も取り入れていますね。
ソファは杜の都をイメージした優しい若草色
入り口には、お客さまの動きにあわせて動くプロジェクションマッピングを導入しています。流れる映像は瑞鳳殿や仙台七夕をイメージさせる竹、仙台すずめ踊りのすずめなど。これらも『変なホテル仙台 国分町』だけの演出です。
ぜひ動いているところを見てほしい
『変なホテル仙台 国分町』では話題の漫画本も読めちゃう
――設備面で何か変わった点はありますか?
変なホテルとして初めて、アメニティーバーを設置しました。
アメニティーバーはフロント脇に設置されている
部屋で着るガウンのほか……
歯ブラシやヘアブラシ、カミソリなどが置かれている
――歯ブラシなど、通常お部屋に置かれているものがひと通り揃っていますね。
はい。環境保護の観点から、お客さまがご利用になる分だけをお取りいただくシステムです。
『変なホテル』は環境にも配慮した素敵なホテルなのだ
――なるほど。アメニティーバーの後ろに並んでいるコミックも気になります。
コミックがずらり!
約100作品、2200冊のコミックをご用意しております。変なホテルはIOT技術を駆使したホテルではありますが、こういったアナログの良さも大切にしたいと考えているんです。タブレットやスマホを使えば簡単に読書はできますが、実際の本を目の前に選ぶ、活字を読むという楽しさはまた別格ですから。非常にご好評をいただいています。
人気どころはしっかり押さえている
ドラマ化された話題作も♪
――宿泊者は自由に見てOK?
――入り口の脇にあるのはレストランの入り口ですか?
はい。仙台の人気洋食店「HACHI」の姉妹店「MAGO HACHI KITCHEN」です。お食事だけでも楽しめますが、当ホテルの朝食つき宿泊プランでもご利用いただけます。
外には「出口専用」の看板が
どうやらレストランのみ利用する場合も、ホテルの中を通る必要があるようだ。取材時はお昼時だったこともあり、ランチ利用と思しきお客が何人もホテルの中へ入っていった。
――ホテルの朝食は、「MAGO HACHI KITCHEN」でいただくわけですね。
はい。メニューはナポリタン、カリーライス、オムライスの3種類からお選びいただけます。通常「HACHI」の単価は1人あたり1500~1700円ほどですが、ホテルの朝食として召し上がる場合は1200円でご利用いただけるためお得です。
「ナポリタン朝食」 【画像提供:変なホテル】
「カリーライス(ナン付)朝食」 【画像提供:変なホテル】
「オムライス朝食」 【画像提供:変なホテル】
◆『変なホテル仙台 国分町』は快適&快眠を第一に考えた、至れり尽くせり仕様
続いてはお楽しみのお部屋紹介へ。チェックインを済ませたらルームキーを持って、フロントそばのエレベーターから部屋へと向かう。
ちなみにエレベーターはルームキーがなければ動かない仕組みになっており、宿泊者以外が客室フロアに入ることはできない。
フロントが無人なので、時折セキュリティに対して不安を持たれることもありますが、まったく問題ありません。安心してご滞在いただければと思います。
夜間帯は、ホテル入り口もルームキーをかざして入るシステムになっている
案内していただいたのは「デラックスツイン」の部屋だ。
大きめのベッドが2台に、ソファやテーブルも設置されている
当ホテルで1番広いお部屋で、広さは約33平米。通常のツインのお部屋を2つ分使用した、ゆったりとした客室となっています。
――快適に過ごせそうですね!
何やら部屋の一角に大きな機械が……
──あの機械はなんですか?
自動クリーニングマシンの「LGスタイラー」です。全室に完備しています。
ドア側にはズボンプレッサーがついている
振動と熱と蒸気の力でにおいやしわを取り、ウイルス除菌もしてくれます。ズボンプレッサーも付属しているのでズボンについたしわも取れ、これ1台あればクリーニングいらずなんですよ。
――ものすごい優れものなんですね!
コースによるが、1時間~2時間ほどでクリーニングが完了する
──変なホテルでは、ベッドやまくらに何かこだわりがあるんですか?
はい。変なホテルといえば、「最新技術を使っているホテル」「へんてこなホテル」「ビジネスホテル」というイメージをお持ちの人が多いと思います。しかし私どもでは実は、お客さまの快適快眠という部分を強く意識しているんです。例えばベッドは、通常のセミダブルよりも少し大きい140㎝幅のものをご用意しています。
壁やソファの色も「杜の都」をイメージした若草色だ
――ゆったり寝られますね。
そうですね。ベッドは全室フランスベッド製で、体圧分散性に優れた高反発マットレスが使用されています。寝心地が良く、寝起きも非常に楽なのが特徴です。
――まくらはいかがですか?
スポーツ選手もよく使用している、LOFTY(ロフテー)の快眠枕を置いています。まくらって、本当に好みが十人十色で難しいんです。高さや固さなど、万人受けするものはありませんから。この快眠枕は頭を包み込むような感触が特徴で、日本人の好みに合わせてあまり高さのないタイプです。「欲しい」とおっしゃるお客さまも多いですね。
中身が6つのパーツに分かれていて、頭をしっかりホールドしてくれる
高さもほどよく、よく眠れそう!
「客室のご案内」「レストラン混雑状況」などが表示されている
これまでホテルではなかなか実現できなかった、YouTubeやNetflixなどのインターネット動画が見られるテレビを採用しています。Chromecastにも対応しています。次世代型VODシステムと呼ばれるものですね。
家庭用テレビでは一般的な機能も、ホテル用テレビでは画期的なのだ
――たしかに、ホテルではネット動画の見られるテレビって見たことがないかもしれません。
Netflixなどは、アカウントを入力しないと見られませんよね。退室の際にログアウトを忘れてしまった場合、他のお客さまがそのまま見られてしまう、という事態が発生する可能性があるので、今までホテルでは実現できませんでした。ですがこのテレビは自動的にログアウトされる仕組みなので、ホテルでも安心して使っていただけるんです。
また、レストランの混雑状況やランドリーの使用状況もこのテレビで確認できる。これ1台で、ホテル内の情報がすべてチェックできるのだ。
次は水回りをご案内します。この「デラックスツイン」と「ツイン」のお部屋はお風呂と洗面台、トイレがそれぞれ独立しているセパレートタイプになっているんです。
ゆったりとしてピカピカなお風呂
洗面台も高級感があるし、広い~!
トイレも余裕がある
――お風呂が広くてきれいですね! 洗面台も広くて使いやすそう。
そこが実はこだわりでして。女性がいろいろ物を置いて使用しやすいように、洗面台を広く作っております。
――女性としては、嬉しいポイントですね! では、シャンプーやリンス類にも何かこだわりがあったりしますか?
シャンプー類はPOLAのものを入れています。女性スタッフが実際に使ってみて、香りや使用感などを確かめたうえで「これだ」というものを置いているので、女性のお客さまにもご満足いただけると思います。
シャンプー類は女性スタッフのお墨つき
――なるほど。ちなみに、こちらのホテルは女性もよく利用されるんでしょうか。
そうですね。ビジネス利用のお客さまが半数を占めており、年代でもっとも多いのは30~40代です。次に多いのが女性ふたりで利用されるお客さまで、こちらはライブ遠征などにご利用されるケースが多いようです。年代としては20代が多く、ツインに宿泊されることが多いですね。
――そうなんですね。お部屋の種類はいくつありますか?
今ご覧いただいた「デラックスツイン」が10部屋、「ツイン」が68部屋、「ダブル」が66部屋で、このほか「ユニバーサルルーム」が2部屋あります。
――ビジネスホテルなのに、シングルはないんですね。
はい。仙台市内のビジネスホテルは8割がシングルで構成されており、ツインはとても少ないのが実情です。あえてシングルのお部屋を作らないことで、その分、旅行でお越しいただくお客さまのニーズを満たせるようにツインを多くご用意しています。
──ビジネス利用の場合は?
ビジネス利用のお客さまにはダブルのお部屋をご用意しています。シングルよりも広くて快適にお過ごしいただけますよ。
こちらはダブルのお部屋。ベッドは160㎝幅とかなり広々
ダブルはビジネス利用のお客さまが多いので、仕事がしやすいように大きめのデスクと座り心地のよい椅子を置いています。
めちゃめちゃ仕事がはかどりそう!
――ちなみに、それぞれのお部屋の料金はいくらですか?
日によって変動しますが、平日ならダブルで6,000円、ツインで7,000円、デラックスツインで10,000円くらいです。週末は、プラス1,000円くらいになりますね。(※料金は変動します)
変わり続ける『変なホテル仙台 国分町』の今後に期待
――2021(令和3)年9月オープンということで、コロナ禍での開業でしたが、難しさなどはありませんでしたか?
最初のうちは消毒液の設置や体温測定などの対応に戸惑ったこともありました。ですが変なホテルはもともと「無人」のホテルですから、フロントにスタッフがいて、体温を測らせていただく……というのは非効率です。ならば対応できる仕組みを導入しようということで、無人でお客さまの体温を測るシステムを導入したりと、対策してきました。
足元に現れる消毒液マークも仙台らしい紫色
対策を講じたうえで、コロナ禍においても変なホテルは国内外に6軒ほどオープンすることができました。
――もともと非対面、無人が特徴のホテルなので、一般的なホテルよりはコロナ対応がしやすかった?
そうですね。感染リスクを減らせるという意味で、お客さまにとっても、スタッフにとっても良かったのではないかと思います。
――9月にオープンしたばかりですが、今後何か新しい展開などは?
他ではやっていない、おもしろい宿泊プランを売り出そうと検討中です。楽しみにしていてください。
――ありがとうございました。
『変なホテル』と聞いて、「いったいどんなへんてこなホテルなのだろう?」と想像していたが、実際に足を踏み入れてみるととても快適で、それでいて至るところにユニークさをあわせ持つ素敵なホテルだった。
それもそのはず、『変なホテル』はお客のニーズに応え続けていくために既成概念にとらわれず「変わり続ける」ホテルなのだ。
これからもどんな変化を見せてくれるのか。『変なホテル仙台 国分町』の今後に注目していきたい。
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『変なホテル仙台 国分町』
・住所:仙台市青葉区一番町四丁目2番12号
・TEL:050-5211-0300
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