不思議すぎる文庫喫茶バー「へんてこ屋」で、おもしろ雑貨たちにまみれてきた

2020.05.02

一番町に、「へんてこ屋」なる名前のお店があるという情報をキャッチした。

「へんてこ屋」ということで、建物の形がへんてこなのか。それとも、店内がへんてこな形をしているのか。はたまた、へんてこな店主がへんてこな商品を売り、へんてこな商売をしているのか……。

ツッコミどころ満載なその正体を確かめるため、だてらぼ編集部は仙台市青葉区一番町にある「へんてこ屋」へと向かった。

「へんてこ屋」へ行ってみた

へんてこ屋の住所は仙台市青葉区一番町1丁目11-34。地図で見ると、このあたりだ。

へんてこ屋までのアクセス画像

仙台駅から向かう場合、サンモール一番町を南に抜ける

ここから100メートルほど歩いたところのT字路を左折する。

味の牛たん喜助 一番町店の画像

「味の牛たん喜助 一番町店」を左折

さらに100メートルほど歩くと、右手に「へんてこ屋」の看板が現われた。

へんてこ屋の外観画像

1階に惣菜店があるビルだ

ここの階段を登って、2階へ向かおう。

へんてこ屋のビルの階段の画像

ちょっとばかり入りにくい雰囲気

へんてこ屋の入り口の画像

一番右奥の白い扉がへんてこ屋だ

勇気を出して開けてみよう

(コンコン)

筆者「ごめんください~」

へんてこ屋のオーナー店長の画像

「はーい、いらっしゃいませ~」

「幽☆遊☆白書」の赤ちゃん飛影(等身大ぬいぐるみ)を抱いて出迎えてくれたのは、へんてこ屋のオーナー・美香(みか)さん。

取材前は「へんてこ屋」と聞いて癖の強い40〜50代くらいの男性オーナーをイメージしていたが、ほんわかとした癒やし系のオーラがにじみ出る、優しげな女性である。ほっ。美香さん、今日はよろしくお願いします!

思わず心が浮き立つ“へんてこ”な雑貨がいっぱい!

へんてこ屋の店内のカウンターの画像

店内はカウンターが3席と

へんてこ屋のソファー画像

2名席がひとつ(※取材時はコロナウイルス感染拡大予防のため、座席数を減少。通常は全7席)

さて、へんてこ屋というからには、何がどうへんてこなのかがもっとも気になるところ。ということでまずは、店内に所狭しと飾られた雑貨類を眺めることに。

へんてこ屋にある雑貨の画像

亀のおもちゃやらおばけ

へんてこ屋の商品画像

コロ助やガッシュベルなどなつかしのアニメキャラクターもちらほら

へんてこ屋にある小物雑貨の画像

キュート系の小物も充実♪ ファンにはたまらない「UMAカード」も

こわっ

星野源のラジオのプレゼントのイラスト

星野源さんのラジオのプレゼント企画でもらったというイラスト。レアものである

へんてこ屋の怪しい雑貨の画像

中央の宇宙人、昔テレビCMで見たような……?

へんてこ屋の商品ラインナップ

ゾンビ除もあります

店内には個性的な雑貨がたくさん並べてあって、見ているだけで楽しい。雑貨類はオーナーの美香さんがもともとコレクションしていたもので、すべて自宅から持ち込んだそう。

まずは、へんてこ屋が何屋なのか確認してみると、「何屋といえばいいのか自分でもわからないのですが、一応『文庫喫茶バー』をメインとして営業しています」と美香さん。

へんてこ屋にある本の画像

店内には本棚もある

ブックカフェ、へんてこ屋の本のラインナップ画像

オカルトなど、本のラインナップもちょっと独特

「普段あまり手に取らないようなタイトルや、気になってもなかなか買うことのないような本が揃っています。そういう本を、お茶やお酒を飲みながら眺めていただくのがメインのお店ですね」

ブックカフェ、へんてこ屋の古本販売の画像

「古本販売」シールがついている本は、購入もできる

確かに雑貨や本は、ほかのお店ではあまり見ないへんてこ感のあるラインナップ。「文庫喫茶バー」がメインということだが、ドリンクや軽食などもへんてこなメニューで構成されているのだろうか。

紅茶やお酒、軽食は正統派なおいしさ!

仙台のブックカフェ、へんてこ屋の店内の画像

さっそくへんてこ屋のメニューについて聞くと、「メインはドリンクで、紅茶やお酒を扱っています。フランスの紅茶専門店『CHA YUAN(チャユアン)」の紅茶や、ノンカフェインのフレーバーティーが人気です」とのこと。

へんてこ屋のドリンクメニューの画像

紅茶メニューだけでも種類がたくさんある

へんてこ屋のドリンクメニューの画像

ソフトドリンクやアルコールも豊富だ

メニューを見ていて筆者が気になったのは、「アブサン実験セット」。そもそもアブサンとはなんなのか、そしてどんな実験をするのだろうか。

「アブサンは、かつてヨーロッパで薬酒として流行したお酒です。ゴッホなどの画家が好みましたが、幻覚作用があって、販売禁止になったこともあります。これをわざわざ飲みに来られる人もいますよ」と美香さん。

へんてこ屋のアブサン実験セットの画像

これがアブサン実験セット 【画像提供:へんてこ屋】

どうやらアブサンが人気のお酒であることはわかった。しかし、「実験セット」とはいったい?

「アブサンは比較的クセの強いお酒で、通常は水で割って飲みます。それでも飲みにくい人向けに、ビーカーに入れたグレープフルーツジュースを一緒にお出ししているんです。水で割ったりジュースを足したり、自分に合う味をいろいろ試してもらうように、という意味で『実験セット』としています」

雑貨だけでなく、ドリンクメニューにもところどころクセのある感じを注入しているようだ。

アブサンとはの画像

アブサンは芸術家に愛された禁断のお酒だそう

続いてフードメニューについて確認してみると、「ホットサンドや焼きバームクーヘンなどの軽食を、おつまみ的な感じで出しています。あとは、このビル1階の『門(mon)』さんのお弁当やお惣菜のみ店内への持ち込みをOKとしています。なので、門さんで買ったお惣菜を持ち込んで、ここでビールを頼んでゆっくりして行かれる人もいらっしゃいますよ」とのこと。

おいしい惣菜をつまみにビールを飲むなんて、最高の過ごし方ではないか。リーズナブルに飲めるのもポイント高しである。

へんてこ屋の看板の画像

門の商品を持ち込む場合は、レシートを持参しよう

とくに人気のメニューを聞いてみると、「CHA YUANの紅茶は、香りがすごく良いので人気ですね。あとは焼きバームクーヘンを頼まれる女性が多いです」と美香さん。

というわけで、人気のCHA YUANの紅茶「コンポジション ドゥ シエル(600円・税込/以下、同)」と「焼きバームクーヘン(500円)」を注文してみた。ちなみに、セット注文で100円割引になるのでセットがお得だ。

へんてこ屋のスイーツメニューの画像

めっちゃおいしそう……

どうやら人気メニューに「へんてこ」感はない……などと思っていると、おや、これは……?

へんてこ屋のミルクの画像

ミルクがビーカーにin!

(クセが強い。けど、かわいい……)

へんてこ屋のバームクーヘンの画像

バームクーヘンの表面はカラメリゼされており、パリパリとした食感が楽しめる

紅茶からはこっくりと甘くて良い香りが立ち上り、焼き立てバームクーヘンはカリふわ、添えられたバニラアイスクリームは舌の上でほどけるように溶けてゆく。

取材できたことを一瞬忘れるような、そんな極上のひと時を過ごしてしまった。雑貨や一部のメニューにややへんてこ感はあるが、それがまた良し!

雑貨販売スペースでは、さまざまな作家の作品が購入できる

へんてこ屋の店内画像

店内では雑貨の販売も行っていて、「今は9人の個人の作家さんと、卸メーカーさんと契約していて、仙台ではあまり扱っていないような商品を手に取って見ていただけます」。

仙台で活動している作家とも取引があり、「もっと仙台の作家さんの作品を多く扱いたいですね。委託販売もできますので、ぜひお声がけいただきたいです」と美香さん。

へんてこ屋のブローチの画像

インパクト特大の「威嚇するザリガニ」のブローチ

個性的なアクセサリーの画像

視力検査で使われるランドルト環のアクセサリー

へんてこ屋の人気商品の画像

人気商品の「自分用スイッチ」。これらの雑貨類は通販でも買える

仙台の作家の商品画像

ミステリー系同人誌も取り扱う。仙台の作家はぜひご連絡を

美香さんのいうように、仙台のほかのお店ではあまり見ない品揃え。雑貨を仕入れるときのこだわりについて聞いてみると、「自分がほしいものですね。自分が『いいな』と思ったり、『こういうアイデアは思いつかないな』と感じたりした作品を扱うようにしています。あとは、デッドストック品などの古物の販売もしています」とのこと。

デッドストック品や古物の陶器人形の画像

デッドストック品や古物の陶器人形

へんてこ屋はカフェでもあり雑貨店でもあるが、雑貨だけ見に来て注文せずに帰るのも問題ないそう。

「雑貨スペースだけ見にきて帰る人もいらっしゃいます。本を読む場合はカフェ・バースペースのご利用になりますので、注文していただく必要があります」

へんてこ屋の仕切りの画像

カフェ・バースペースを利用する場合は注文要

「へんてこ屋」というインパクト大な店名の由来は……?

へんてこ屋のインテリア画像

2019(平成31)年の3月にオープンし、ちょうど1年が経った「へんてこ屋」。ずっと気になっていた「へんてこ屋」のネーミングの由来を聞いてみた。

「頭にぱっと浮かんだんですよね。思いつきです。昔から、自分が好きなものがあまり一般受けしない『へんてこなもの』だという自覚があったので、じゃあへんてこ屋でいいじゃないかと」

へんてこ屋の看板画像

オーナーの「へんてこなもの好き」が由来しているそう

お店をオープンしようと思ったきっかけについては、「もともとは普通の会社員をしていたのですが、昔からちょっと変わった本や雑貨類が好きで。ぼんやりとですが、『お店ができたらいいなあ』という思いはありました。現実的に考えるようになったのは、ここの空き物件を見つけたのがきっかけです」と美香さん。

「でもお金がなかったので、節約のために内装はほとんど自分でDIYしました。棚を作ったり壁を塗ったりして、初期費用を抑えたんですよ」

へんてこ屋のおしゃれなインテリアの画像

内装のほとんどは美香さんのお手製だという

内装は決してへんてこではなく、むしろちょっとおしゃれな喫茶店といった感じ。どういうお客が多いのだろうか。

「老若男女を問わず、幅広い年代の人がいらっしゃいます。比較的女性が多いですが、そこまで偏りはありません。お友達同士で来る人もいますが、少ないですね。ひとりで来店して、ゆっくり本を読んだり私と話をしたりしていかれるお客さまが多いです」

へんてこ屋のドアの画像

臆することなくドアを開けるべし

これまた取材前のイメージでは、40〜50代くらいの男性が多いと思っていたので、意外といえば意外である。

「そうなんです。オープンする前はそれくらいの世代が多いかなと予想していました。いわゆる『ノストラダムス世代』ですね。それくらいの世代だと、ミステリー系の雑貨類はなつかしいと感じますから。でも実際には、大学生くらいの若い人も多くて。若い人にとっては物珍しく新鮮なようで、それがかえっておもしろく感じるみたいです」

へんてこ屋の雑貨の画像

かわいいもの好きの若い世代も多いそう

ちなみに、お客の滞在時間については平均2~3時間で、なかには、オープンの13時から閉店の21時までずっといた人も。

「そのうちのひとりは、仕事の打ち合わせに使われたんですが、お相手が帰ってからもひとり残って、私と話をしていました。で、いつの間にか夜になっていたと……」

イスが横並びで、コンセントも使えることから、仕事の打ち合わせやパソコン作業で利用する人もいるようだ。

仙台のビジネスで使えるカフェの店内画像

へんてこ屋はビジネスユースもあり

毎週水曜日にはカラーセラピーを実施

仙台のカラーセラピーができるお店の画像

へんてこ屋では、Sloth room(スロースルーム)という名前でカラーセラピーもしていて、基本的に毎週水曜日、予約制で行っている。水曜日以外でも、へんてこ屋の営業時間外なら相談に乗るとのこと。

「カフェメニューのほうでお試しでやっているのが1500円で、Sloth roomのほうは20分2500円、50分3800円です。ご自身で色を選んでいただくことで今の自分を見つめ直したり、人と話すことで気持ちを軽くしたりできます」

セラピーとしてはリーズナブルでトライしやすい値段設定。気になる人はぜひ!

へんてこ屋のカラーセラピーの画像

選んだ色によって結果が導かれる

へんてこ屋のカフェ・バースペースにはギャラリースペースもあり、ここで絵や作品の展示も行っている。

「ご希望の人には無料で貸し出しているので、お声がけいただければ。あと、変わった雑貨が多いので撮影用に利用される人もいますよ」

セーラームーンの画像

ギャラリースペースにはタバコをたしなむセー◯ー戦士の絵

仙台一番町にある「へんてこ屋」は、へんてこなもの好きなオーナーが営むちょっと変わった文庫喫茶バーだった。たしかにクセのある雑貨も多く展示・販売されているが、どれもかわいくて興味深いものばかり。

おいしい紅茶やお酒をいただきながら、ゆったりと思いおもいの時間を過ごせる素敵なお店なので、我こそは! というへんてこ好きなあなたは、(コロナが収束したら)足を運んでみてはいかがだろうか。

へんてこ屋
・住所:宮城県仙台市青葉区一番町1丁目11-34 三浦輪業商会ビル202号室
・営業時間:13時00分~21時00分
・定休日:火曜、水曜予約営業+不定休日
※新型コロナウイルス拡大防止のため、営業時間や定休日に変更が生じる場合があります
『ホームページ』
『ツイッター』

この記事を書いた人

岩崎尚美

岩崎尚美

仙台を拠点に活動するフリーライター。生まれも育ちもだいたい仙台です。仙台の魅力をお伝えするため、頑張ります!

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