『アイネクライネナハトムジーク』仙台出身モデル森絵梨佳/単独インタビュー
オール仙台・宮城ロケで撮影された映画『アイネクライネナハトムジーク』が現在大ヒット上映中だ。本作は、仙台市在住の人気作家・伊坂幸太郎さんの同名小説を、『愛がなんだ』で話題を呼んだ今泉力哉監督が映画化した。
劇的な出会いを待つ会社員・佐藤(三浦春馬)を中心に、周囲のさまざまな人々を巻き込み、10年のときをかけて恋と出会いの奇跡の連鎖を呼び起こすラブストーリー。
だてらぼでは、主人公・佐藤の親友・一真の美人妻役を演じた森絵梨佳さんに単独インタビューを敢行。
仙台出身で、モデルとしても活躍する森絵梨佳さんに、本作の見どころとともに、撮影中のエピソードや仙台での思い出などについて語ってもらった。
縁を感じた作品
──まずは、オファーを受けたときの感想から教えてください。
わたし自身、仙台出身で中学生までずっと仙台で過ごしたこともあり、この作品にとても縁を感じました。また、地元である仙台が舞台ということで、とても誇らしい気持ちになったとともに、ぜひこの映画に出演したいと思いました。
──2017年に第1子を出産した森さん。今作では、ふたりの子を持つ母親役を見事に演じていました。
正直、不安もありました。というのも、わたし自身、母親役ははじめてなので自分に務まるのか……。また、子どもが1歳のときだったので、撮影と子育ての両立ができるのか……。でも、やっぱりオール仙台ロケのこの作品に関わりたいという好奇心のほうが勝ち、出演させていただくことになりました。
──脚本を読んで、由美という人物にどういう印象を受けましたか。
由美は夫である一真(矢本悠馬)のAVが部屋に落ちていてもさらっとしまってしまうなど(笑)、たくましくて強さもある一方で、優しさに溢れた女性という印象でした。でも、それをひけらかすわけでもない。とても魅力的な女性だと思いました。
──そのうえでどのような部分に注意して演じましたか。
語尾には気をつけてセリフを発しました。たとえば、「なんとかで〜」などと語尾を伸ばさず、「なんとかでっ」とすることで、由美の女性としてのたくましさを表現しました。
また、今泉(力哉)監督が『日常の何気ない雰囲気を重要視したい』とおっしゃっていたので、セリフの前に『うん』と入れてみるなど、会話の流れが自然になるよう意識しました。
いままであまり意識してない部分だったので、わたし自身、人と会話をするときに研究するなどしました。
ホテルの部屋から仙台を実感!?
──そういった細かい部分が由美の魅力を引き上げているんですね。撮影中は仙台を満喫できましたか。
それが、あんまり堪能できなかったんです(泣)。わたしの撮影じたいは3〜4日しかなく、その間は仙台に滞在していたんですが、ほとんど室内のシーンだったんです。しかも、仙台の滞在期間中はまとめて撮影していたので、どこかに出かける時間もあんまりなくて……。
ただ、差し入れでずんだ餅をいただいたときや、宿泊していたホテルの部屋から仙台大観音が見えたときなどは「仙台で撮影しているんだなぁ」って感慨深くなりました。
──多部未華子さんは撮影の空き時間に仙台大観音の胎内を巡ったとおっしゃっていました。森さんはこれまで仙台大観音の胎内を巡ったことはありますか。
じつはないんですよ……。仙台に住んでいるときは仙台大観音の前を通ったことがあるくらいだったので、今回、改めてあれだけ近くで見れたのがとてもうれしかったです。時間を見つけて改めて足を運びたい場所だなって思いました。
──改めて完成した作品をご覧になっていかがでしたか。
素直に「いい映画だな」って思いながら見てました。この作品を見ている2時間が、多くの方にとって有意義な時間になるんだろうなって。
いままで出会ってきた人や、より大切にしてきた人が明確になるきっかけになったとと同時に、これからの出会いが楽しみにもなりました。
──仙台市民としては馴染みのある場所ばかりが舞台になっているので、わくわくしながら見ました。
仙台駅前ペデストリアンデッキでのシーンはとくに懐かしい気持ちになりましたね。各劇場や区役所などでロケ地マップを配布しているので、ぜひいろいろな場所を巡っていただいて、『アイネクライネナハトムジーク』の世界観を肌で感じていただけたらうれしいです。
“仙台に行く”のが大イベント
──仙台に住んでいたころは、どのように過ごされていましたか。
仙台駅周辺で遊ぶことが多かったかもしれないですね。当時はまだ中学生だったので、地下鉄に乗って友だちと“仙台までお出かけをする”のが大イベントみたいな感じでした(笑)。
──仙台駅周辺に行くことを「仙台に行く」と言いますよね(笑)。
言ってましたね(笑)。仙台ってあんなに広いのに、仙台駅周辺に行くときだけ「仙台に行く」って。みんなそれで通じちゃってました。仙台あるあるですね(笑)。
──仙台駅周辺でよく行っていたところなどはありますか。
アーケードでプリクラを撮ったりですかね。あとは、当時はギャル系のスタイルがはやってる時代だったので、「E Bean S(イービーンズ)」で洋服を買ったりしてましたね。
──ギャル系(!?)。いまの森さんからは想像がつかないですね。
いまはちょっと変わりましたけど、中学生のころはミニスカートやダメージデニムなども履いてました。当時はそういったところでショッピングをするだけで成長した気分になってましたね(笑)。
──地元ではどういうふうに過ごされていましたか。
友だちと地元の「AEON(イオン)」や「JUSCO(ジャスコ)」で洋服を買ったりフードコートで長時間お話しをしたりですかね。懐かしいですね。
── 「AEON(イオン)」は誰もが通る道ですよね。いまも仙台に行くことはありますか。
年に2〜3回は行きます。でも、いまは仙台駅前というより、子どもを連れて「昭和万葉の森」や「みちのく杜の湖畔公園」など、大きな公園に行くことのほうが多いですね。
アスレチックや芝生でそり滑りができる場所があったり。仙台市内にもそういう素敵な公園がたくさんあるのを改めて知りました。子どもといっしょにアウトドアな遊びを楽しめる場所によく行くようになりましたね。
──最後に、作品を楽しみにしている方に向けてメッセージをお願いします。
これまで経験した出会いを振り返ったり、出会いというものを改めて考える作品に仕上がっていると思います。
また、オール仙台ロケというのはもちろん、仙台駅前ペデストリアンデッキや仙台駅の駐輪場など、みなさんにとって馴染みのある場所がたくさん出てくると思います。わたし自身、オール仙台ロケということもあり、とても愛着のある大切な作品になりました。
ぜひ劇場に足を運んで多くの方にご覧になっていただきたいと思います。
森絵梨佳(もり・えりか)
1988年10月4日生まれ、宮城県・仙台市出身。
中学生のころにティーン誌でモデルとしてデビュー。2008年には「ゼクシィ」のCMで一躍話題となる。その後、雑誌「美的」や「ar(アール)」など、かずかずの美容誌やファッション誌で表紙を飾る。“いまなりたい顔No.1”として各誌で特集が組まれるなど、女性を中心に圧倒的な支持を集める。2017年には第1子男児の出産を報告。
仙台駅前の大型ビジョンには、日本人のボクシング世界王者をかけたタイトルマッチが映し出されている。そんななか、会社の指令で街頭アンケートを行う会社員・佐藤(三浦春馬)が、ふとギターの弾き語りに目を向ける。ときを同じくして弾き語りに足を止めていた紗季(多部未華子)と目が合い、声をかけると快くアンケートに応えてくれた。ふたりの小さな出会いは、妻と娘に家を飛び出されて絶望を感じていた佐藤の上司・藤間(原田泰造)や、不釣り合いな美人妻・由美(森絵梨佳)と娘・美緒(恒松祐里)を持つ佐藤の親友・一真(矢本悠馬)、その娘の同級生・和人(萩原利久)の家族、由美の学生時代の同級生で美容師の美奈子(貫地谷しほり)らを巻き込み、10年のときをかけて奇跡のような瞬間を呼び起こす——。
この記事を書いた人
幸谷亮
仙台が大好きすぎて「だてらぼ」を立ち上げたひと。雑誌編集部→雑誌編集部→2016年に独立。雑誌編集部時代に身につけた取材力を武器に、みなさんの気になるネタを全容解明します。