文化横丁に移転オープンした「すずや」で、新感覚のもなかを食す/仙台一番町

2020.11.10

“もなからしくないもなか”がSNSを中心に話題を呼んでいる。

もなかといえば「なつかしい」「ほっとする」といったワードを彷彿とさせる和菓子。しかし、そのようなイメージを覆す新感覚のもなかを生み出したのが、10月に文化横丁に移転したばかりの「甘味処すずや」だ。

昭和レトロな雰囲気が漂う文化横丁から、新たなブームを巻き起こしつつある「甘味処すずや」を取材し、人気のもなかやこだわりなどについて聞いてきた。

10月に文化横丁に移転オープン

文化横丁に移転したすずやの外観

もともとは青葉区二日町でもなかのテイクアウト専門店として営業していた「甘味処すずや」だが、2020(令和2)年10月に文化横丁(青葉区一番町)へと移転。

すずやのアクセスや場所が分かる画像

サンモール一番町から横道に入ってすぐ

イートインスペースを新たに設けるとともに、メニューも大幅に増加した。

文化横丁に移転したすずやの内観

店舗2階がイートインスペース。席数は15席ほど

仙台のもなか専門店のインテリア画像

フードとドリンクをセットで注文した場合のみ利用できる

すずやのテイクアウトの場所

テイクアウトの場合はこの小窓から商品を受け取る

出迎えてくれたのは、オーナーの鈴木義和(すずき・よしかず)さん。

すずやのオーナーの画像

鈴木さん、よろしくお願いします!

すずやのもなかの特徴・こだわりは?

仙台銘菓としても名高いもなか。私たち仙台市民がよく目にするのは、皮と皮とであんを挟んだもなかが一般的だ。なかには、白あんやゴマあんを挟んだもなかもある。

通常、皮で中身をきれいに包み込んでいるのがもなかのスタンダードだが、「甘味処すずや」のもなかは中身を皮で包み込まず、見せるスタイルを採用している。

――すずやのもなかは、良い意味で“もなからしくない”見た目が特徴的ですよね。

鈴木さん
鈴木さん
はい。手に取ったとき、お客さんに楽しんでもらえる商品をと考えて作っています。
すずやのあんバター最中の画像

これはテンション上がる! 【画像提供:すずや】

――もなかのメニューはどれくらいあるのでしょう?

鈴木さん
鈴木さん
常時7~8種類は取り揃えています。
すずやのメニューの画像

「あんバター(400円/税抜、以下同)」がもっともスタンダード

仙台の最中専門店のメニューの画像

「黒ゴマチーズ(500円)もおいしそう

文化横丁に移転したすずやのメニュー

白あんとマンゴーとは意外な組み合わせ

鈴木さん
鈴木さん
「あんバター(400円)」「ずんだカタラーナ(500円)」「そばの実いちじく(500円)」の3種類がレギュラーメニューで、そのほかは定期的に入れ替えています。

すずや看板メニューのひとつ「ずんだカタラーナ」

――移転に伴い、リニューアルした商品もあるそうですね。

鈴木さん
鈴木さん
「マロンマロン(500円)」ですね。以前はテイクアウト専門店だったので、手に持って食べやすいよう、マロンペーストを山のように盛っていたんです。
すずやの人気メニューのマロンマロンの画像

こちらは旧バージョンの「マロンマロン」 【画像提供:すずや】

鈴木さん
鈴木さん
今回イートインスペースを設けたことで、店内飲食の場合のみモンブランのようなマロンを提供できるようになりました。
すずやのメロンソーダの画像

もなからしからぬ(!?)美しい仕上がり【画像提供:すずや】

――季節限定メニューもありますか?

鈴木さん
鈴木さん
今だと秋なので「大学いも(500円)」を季節商品として提供しています。春には「いちご」なんかを出していましたね。
すずやの人気メニューの画像

とろーりバニラアイスの上にごろりと大学いもが乗っている

――季節メニューはどういうタイミングで入れ替わるんですか?

鈴木さん
鈴木さん
明確には決めていないです。「いちご」なら、納得できるいちごが手に入らなくなったらやめます、という感じです。
仙台の人気もなか屋のいちごの最中

いちごがおいしい時期だけ「いちごもなか」が食べられる 【画像提供:すずや】

人気メニューは? スタッフのイチオシは意外な一品!

どれもおいしそうで選ぶのに困ってしまう……。ということで、人気のメニューとスタッフのイチオシメニューを聞いてみた。迷ったら、ぜひ参考にしてみて!

――まずは人気のメニューから教えてください。

鈴木さん
鈴木さん
「あんバター」と「ずんだカタラーナ」「マロンマロン」ですね。「マロンマロン」はもともと秋冬メニューでしたが、今後は通年で提供するかもしれません。
すずやのずんだ最中の画像

ずんだペーストは枝豆の食感がしっかり残っており、食べごたえがある

――定番メニューが人気なんですね。

鈴木さん
鈴木さん
そうですね。とくに、お土産用として持ち帰りで買っていくお客さまには「あんバター」が圧倒的に売れます。
鈴屋のお土産用人気ナンバーワン最中

お土産用として圧倒的に人気のあんバター 【画像提供:すずや】

鈴木さん
鈴木さん
ひとりで食べにくる人からは、写真撮影されることが多いので、写真映えする「ずんだカタラーナ」「マロンマロン」が人気です。最近は「大学いも」もよく出ますね。

――ちなみに、スタッフさんから人気があるのは?

鈴木さん
鈴木さん
「白あんマンゴー(500円)」です。派手さに欠けるせいか(笑)、お客さまからの人気は今ひとつですが、実はめちゃくちゃおいしいんですよ。白あん・発酵バター・ドライマンゴー・ピスタチオのマリアージュが絶品です!
すずやのスタッフからの人気の最中

取材に応じてくれた女性スタッフが2人とも「一番好き」と答えた白あんマンゴー 【画像提供:すずや】

「すずや」のもなかはすべて手作り

彩り豊かで、視覚的にも楽しめる「すずや」のもなか。しかし見た目だけではなく、味にもこだわり満載なのだ。

――もなかはすべてお店で作っているのですか?

鈴木さん
鈴木さん
はい。あんこや各種ペーストなど、すべて私が店内のキッチンで手作りしています。とくにあんこは一番のベースになるものなので、こだわっていますね。
すずやのあんこの特徴

あんこのこだわりとは?

鈴木さん
鈴木さん
あんこってデリケートなので、温度や湿度が少し違うだけでもすぐに変化してしまうんですよ。常においしいあんこを提供するために、炊き方には細心の注意を払っています。

――すずやさんのあんこの特徴を教えてください。

鈴木さん
鈴木さん
うちのあんこは水分を多く含んでいて、ふんわりしっとりとした質感が特徴です。コンビニなどで売られているもなかのあんこって、ぎゅっとしていて固いですよね。あれは砂糖を多く入れて煮詰めるから、水分量が少なくなるんですよ。
すずやのあんバターの画像

しっとり&なめらかな口当たりが特徴

――たしかに、よくあるもなかのあんこって固いですよね。

鈴木さん
鈴木さん
その点うちのあんこは柔らかいので、暖かいところに置いておくと溶けてしまうほどなんですよ。
すずやのテイクアウトで人気の最中

口の中でほどけるように溶ける。甘さは控えめ

――あんこへの情熱をひしひしと感じます。皮にもこだわりがあるとか?

鈴木さん
鈴木さん
はい。皮は石川県金沢市にある、もなかの皮を専門に扱っている加賀種食品さんから仕入れています。いろいろ取り寄せた中で、ここがベストだったんです。

――決め手は何だったんでしょう。

鈴木さん
鈴木さん
パリパリさと強度をバランス良く兼ね備えている点ですね。パリパリすぎると持ち運ぶ間に割れちゃったりしますが、加賀種食品さんの皮にはそれがありませんでした。しっかり強度があるのに、食べるときはちゃんとパリパリなんです。お客さまには、その食感も楽しんで食べてもらいたいですね。
すずやの最中の皮の画像

パリパリ感も楽しめる

――持ち帰りの話が出ましたが、お土産用として包んでもらうこともできるんですね。

鈴木さん
鈴木さん
はい。その場合はあんこをフィルムでくるんで、皮があんこの水分を吸わないようにしておわたししています。

通常のテイクアウトはバーガー袋に包んでの受けわたしだが……

すずやの持ち帰り用のパッケージ

持ち帰り(お土産)用はしっかりパッケージしてもらえる

すずやのお土産用の最中の画像

あんこがフィルムで密閉されているので、皮はパリパリの状態をキープ

もなか以外のメニューは?

すずやのオリジナルタンブラーの画像

すずやオリジナルデザインのグラスやタンブラーも販売中

――二日町店ではもなか専門店でしたが、移転してからはもなか以外のメニューもありますね。

鈴木さん
鈴木さん
はい。そのためにイートインをはじめたところもありますから。
すずやの最中以外のメニューの画像

「白玉あんみつ(650円)」や「白玉クリームあんみつ(700円)」

すずやの最中以外の人気のメニュー

「白玉きなこ(600円)」に「白玉ずんだ(600円)」

すずやのメニューの画像

「ずんだ白玉あんみつ(700円)」などをラインナップ

鈴木さん
鈴木さん
もなか以外だと、「あんみつ」が人気ですね。
すずやの白玉あんみつの画像

「白玉あんみつ」はイートインでのみ注文可能 【画像提供:すずや】

――白玉が乗ってる! これは確実においしいやつですね。

鈴木さん
鈴木さん
白玉は注文を受けてから茹でて、できたてを出しています。もちもち食感を楽しめますよ。
すずやの白玉きなこの画像

きなこたっぷり「白玉きなこ(600円)」も人気【画像提供:すずや】

――食べたい……! 飲み物も幅広いラインナップが揃っていますね。

すずやのドリンクメニューの画像

イートインではコーヒー(500円)や柚子ソーダ(550円)のほか

すずやのクリームソーダの画像

クリームソーダ(600円)に

すずやのドリンクメニューの画像

ハーブティー(500円)などがいただける

鈴木さん
鈴木さん
はい。中でも人気なのが「抹茶ショコラショ(650円)」です。ショコラショとはフランス語でホットチョコレートのことで、「抹茶ショコラショ」にはホワイトチョコレートを使用しています。それに京都宇治の「青嵐」という香りの強い抹茶を使っていて、すごく味わい深いので、抹茶が苦手な人にも飲んでみてもらいたいですね。

文化横丁に移転したきっかけは?

すずやの店内の画像

――二日町店のオープンが2019(令和元)年7月。文化横丁への移転が2020(令和2)年10月と、ほぼ1年という短いスパンで移転を決めたきっかけは?

鈴木さん
鈴木さん
以前はテイクアウト専門店だったので小さな店舗でしたが、たくさんのお客さまに来店いただいたので手狭になってきて。それに、寒空の下でベンチに座って食べてもらうのも申し訳ないと思っていたんです。

――それで新店舗の物件探しを?

鈴木さん
鈴木さん
いえ、もともとここには私が経営する「enji」というワインバーが入っていたんです。コロナの影響で夜は閉めていることが多かったので、どうせならすずやをこっちに移転させちゃおうと。イートインスペースを作って、メニューも増やしたいと思っていたところだったので。
すずやの外観画像

壁には、ワインバー「enji」のネオンサインが残っている

enjiの跡地

ワイングラスや……

すずやのインテリアの画像

インテリアなどにバー時代の名残もちらほら

――そうだったんですね。移転してから、お客さんの数や層に変化はありましたか?

鈴木さん
鈴木さん
お客さまの数は増えましたが、客層はあまり変わりませんね。女性客がほとんどで、年代は20~30代が6割、30~40代が残りの4割という感じです。

今後は、「公式ホームページ兼ECサイトを作るつもり」と鈴木さん。もなかを自宅で手作りできるセットやすずやで取り扱う雑貨類などを、ネットで気軽に購入できるようにしたいとのことだった。

新メニューのアイデアも既にあるそうなので、こまめに公式Instagramをチェックすると、いち早く情報をキャッチできるかも!

\この記事も読まれてます/

『甘味処すずや』
・住所:宮城県仙台市青葉区一番町2-3-37
・営業時間:12時00分〜19時00分
・定休日:基本なし(詳細は公式Instagramにてお知らせ)
・最寄り駅:仙台市地下鉄東西線「青葉通一番町駅」より徒歩2分
・駐車場:なし
・インスタ

この記事を書いた人

岩崎尚美

岩崎尚美

仙台を拠点に活動するフリーライター。生まれも育ちもだいたい仙台です。仙台の魅力をお伝えするため、頑張ります!

関連記事