ボランティア不足解消のカギ!丸森町のボランティアバスツアーに参加してきた
台風19号による豪雨災害から11月12日(火)で1ヶ月が経過した。
宮城県内でも甚大な被害を受けた丸森町では、10月19日(土)からボランティアの受け入れをスタート。だてらぼ取材班も10月31日(木)にボランティアに参加し、「【実体験】丸森町で初ボランティアしてきた!初心者が知っておきたい心構えとは?」という記事を翌日の11月1日(金)にアップした。
この体験を通じて感じたのは、ボランティアの受け入れをする丸森町ボランティアセンターまでのアクセスの悪さ。
丸森町までのアクセスに欠かせない阿武隈急行が台風19号の影響で運休しているだけでなく、救済バスなどで丸森駅にたどり着けたとしても、駅からボランティアセンターまでは徒歩にして40分ほどもかかるのだ。
そういった背景もあり、ボランティアの受け入れから1ヶ月近く経ったいまでも、人手不足により復旧が進まないエリアが多い。
この問題を解決するため、丸森町ボランティアセンターは11月2日(土)〜4日(月)の3連休に仙台駅発着の「丸森町災害ボランティアバスツアー」を開催。多くの人がボランティアに訪れた。
その後も週末にはバスツアーを開催するなどしてきたが、依然として復旧の目処が立っていない状況だ。そこで、だてらぼ編集部は11月16日(土)に開催された「第3弾 丸森町災害ボランティアバスツアー」に参加。当日の集合場所やボランティアの様子などをレポートしていく。
ボランティアバスツアーに参加する予定の人、興味を持っている人などに参考にしてもらえたら幸いだ。
ちょっと分かりづらい。ボランティアバスツアーの集合場所はどこ?
第3弾ボランティアバスツアーが開催されたのは11月16日(土)と17日(日)の2日間。それぞれ35名・50名の定員で、だてらぼ編集部は16日(土)に参加してきた。
バスのフロント窓などに「ボランティアバスツアー」や「丸森町」などといった案内板は貼られていない。なので、受け付けをしている“それらしき人”に声をかける必要がある。当日も「これ、ボランティアバスツアーのバスですか?」などと受付の男性に質問する参加者もいた。
定刻より少し前にバスが出発すると、車内ではバスツアーのスタッフから「ボランティアの心構え」や「ボランティア活動の流れ」などが記載された用紙がわたされた。
いよいよボランティア先に到着!
9時30分ころにボランティア先に到着。通常、ボランティアに参加する場合、まずは丸森町ボランティアセンターで受付を済ませてからグループごとにボランティア先に向かう。しかし、(日にもよるらしいが)この日はボラセンには寄らず直接向かった。
訪れたのは、丸森町のなかでも被害が大きかった「上林(じょうりん)地区」だ。
筆者を含む35名ほどのボランティアは2班に分かれ、スタッフの誘導のもと徒歩でそれぞれのボランティア先に向かった。
ボランティアスタート!
この日のボランティア先は、昔ながらの広〜い一軒家。天井近くまで浸水したようで、1階部分がほとんど使い物にならないくらい被害を受けていた。
ちなみに、筆者のこの日の服装は、汚れてもオッケーなように撥水性のあるものをセレクトしたくらいで、ほぼ普段着のまま。。マスクと軍手はボランティアセンターで用意されていたモノを使用した。
筆者たちが訪れたボランティア先は、台風後ほとんど手がつけられていない状況だった。何度もいうように台風被害から1ヶ月以上が経過しているが、どうして手付かずなのだろうか——ボランティア歴の長いバスツアー参加者(以下、師匠)に聞いたところこういう理由のようだ。
なるほど。被害が大きかった上林地域ゆえ、ボランティアの受け入れ態勢を整えるまでにも時間を要したのだろう。
そんな地域に位置する広い一軒家のボランティア作業は想像を絶するもので、師匠も「俺がいままで経験してきたボランティアの中でも、ベスト3に入るほどの大変さ」と豪語するほどだった。
具体的な作業内容としては、家の中の家電やらインテリアやら生活雑貨など、いわゆる“家財”をすべて外に出し、「処分せずに残しておくモノ」と「処分するモノ」を分別。その後、処分するモノを作業用トラックの荷台にひたすら詰め込む、というのがおもな内容だった。
広いだけでなく、モノが多いボランティア先だったため、これがとてつもなく大変だった。浸水により汚泥が付着し、一見するだけでは何が何だか判断がつかない。ゆえに、1つひとつきちんと確認しながら仕分けなければならないのだ。
また、浸水により濡れ、まだ完全に乾燥していないので運ぶのもこれまた大変なのだ。
この日は30分〜40分に1度、10分ほどの休憩を取りながら作業を行った。また、11時40分から1時間ほど昼休憩を取り、昼ごはんを食べたりボランティア仲間と交流を深めたりしていた。
師匠とは休憩していた場所が近く、お昼休憩中にボランティアの心得などを教えてもらった。
ボランティアをすることでいろいろ得られるものがあるので、「ボランティアさせていただく」という表現になる。正直、ボランティアに参加する前は、この表現に違和感を覚えていた。が、ボランティアを経験したことでこの意味を腹落ちさせられた。これもひとつの収穫である。
丸森町の場合、ボランティア作業は基本的に15時まで。この日だけでは完遂できなかったが、15時になったのでこの日のボランティアは終了……。このボランティア先の作業は翌日以降に持ち越される。
終了後すぐにバスに乗り、丸森町ボランティアセンターに到着したのが15時20分ころ。着替えなどを済ませ、15時40分に仙台駅に向けて再度出発するということで、筆者はその間にボランティアセンター内や周辺の様子を撮影することに。
定刻通り15時40分にバスが出発。仙台駅に到着したのは17時10分ころだった。
2回目のボランティアを通じて感じたのは、これだけの被害を前にすると人間ひとりの力なんて無力だということ。筆者はもちろん、仮にラグビー日本代表キャプテンのリーチマイケル選手がボランティアに参加したところで、ひとりでできることなんて限られている。
しかし、ひとりでは微力でも、集まれば想像もできないほど大きな力になる。「俺(わたし)ひとりが参加しても……」なんて思わず、いまこそ力になってほしい。
バスツアーなどでボランティア数が増えているとはいえ、ボランティアの受け入れをスタートしてから1ヶ月近く経ったいまでも、270件ほど(11月16日現在)のボランティアニーズがあるのだ。
日々、ボランティアのニーズも増えるため、今後、300件や400件に増える可能性だってある。
少しでもこの状況をどうにかしたい、少しでも力になりたいと思っているなら、臆することなく参加してほしい。どうかよろしくお願いいたします。
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この記事を書いた人
幸谷亮
仙台が大好きすぎて「だてらぼ」を立ち上げたひと。雑誌編集部→雑誌編集部→2016年に独立。雑誌編集部時代に身につけた取材力を武器に、みなさんの気になるネタを全容解明します。