名作が復活!サカロフの仙台デリースがチーズケーキ店yuzukiで買えるって本当!?
2022.05.14
仙台で50年以上にわたり愛された老舗洋菓子店「嵯加露府(以下、サカロフ)」。仙台市内にあった路面店が2000(平成12)年に惜しまれつつ閉店となったが、同店の代表作となる「仙台デリース」のファンは多く、食べられなくなることに悲しんだ人も多いのではないだろうか。
しかし、である。サカロフの名作・仙台デリースが、太白区にある「杜の都のチーズケーキ工房yuzuki」で復活しているという噂をキャッチ。あの味がまた楽しめる──そんな期待を胸に「杜の都のチーズケーキ工房yuzuki」に向かった。
仙台の老舗洋菓子店「サカロフ」の名作がyuzukiで復活!
「杜の都のチーズケーキ工房yuzuki」といえば、以前、「だてらぼ」でも紹介したようにチーズケーキの専門店である。太白区にあるyuzukiに行ってみると……
仙台市太白区東大野田にあるyuzuki店舗入り口。サカロフの看板も!
サカロフのどの商品がyuzukiで買えるのか。そして、なぜチーズケーキ専門店のyuzukiで販売しているのか──その謎を解くため、株式会社yuzuki代表取締役 佐藤博紀(さとう・ひろのり)さんにお話を伺った。
佐藤社長、よろしくお願いします
なぜチーズケーキ専門店yuzukiに「サカロフ」のお菓子が!?
yuzukiの店舗は真っ白なトレーラーハウス。駐車場も完備
──まずは、yuzukiについて簡単に教えてください。
yuzukiはチーズケーキ専門店です。2022(令和4)年でトレーラーハウス実店舗が開店8年目になります。また、仙台の老舗洋菓子店「サカロフ」の焼き菓子を引き継ぎ、製造・販売しています。
──「サカロフ」の路面店が閉店してから20年以上経っていますが、改めてどのようなお店だったのでしょうか。
実は私もアーケード内に路面店があった頃はよく存じ上げないのですが、仙台で50年以上の歴史をもつ洋菓子店です。2000年に仙台市内中心部の路面店が閉店となった後、創業者の親戚で、焼き菓子部門を担当してきた猪俣氏が会社を引き継いだそうです。当時65歳だった猪俣氏は自宅を改築して工房と販売スペースを作り、仙台デリースやクロカントなどサカロフの焼き菓子を製造し、販売を続けていました。
店内にはサカロフの看板が置いてある
──yuzukiで販売しているのはサカロフのどの商品でしょうか?
まずは看板商品の「仙台デリース」です。チョコレート、ホワイト、モカの3種類の味があります。サクサク感のあるクッキー2枚の周りにチョコレートが付いていて、同じ味のチョコレートクリームがサンドされた焼き菓子です。
看板商品の仙台デリース(各259円)
他にも、ナッツやレーズンがたっぷり入った生地を2度焼きし、たっぷりのチョコレートをコーティングした「クロカント」。レーズンが入ったクッキーをコーンフレークで包んで焼き上げた「コーンビスケ」。アーモンドとラズベリーソースを練りこんで作った「アマンディーヌ」があります。
左からクロカント(302円)、コーンビスケ(小・248円)
アマンディーヌ(248円)
──yuzukiがサカロフの商品を販売するようになったきっかけを教えてください。
yuzukiが百貨店に出店していた頃、隣接するスペースで「サカロフ」も一緒に出店していたんです。その頃からサカロフの猪俣氏が「後継者がいない」とおっしゃっているのを聞いていて。百貨店から撤退した後も猪俣氏との交流は続いており、ある時「サカロフの味を引き継いでほしい」と頼まれました。
──その時に佐藤さんはどう思われましたか?
最初は驚き、迷いました。でも「多くの人に愛されているサカロフの味をなくすわけにはいかない」という思いや、当店のベテラン従業員の後押しもあり、引き継ぐことに決めました。それに伴い、現在の店舗の敷地内に新しく工房を建てたのと、サカロフの味を引き継ぐことを知ってもらうため、話題作りの目的もあり2017(平成29)年にクラウドファンディングを行いました。そして2018(平成30)年よりサカロフの焼き菓子商品の販売を開始しました。
100万円の目標金額に対し、103万5000円の支援を受けるほど好評だった 【クラウドファンディングのスクリーンショット】
──老舗の味を引き継ぐにあたって苦労も多かったのでは。
昔ながらの手作業も多くて大変でした。実は仙台デリースは完成までに3日かかっているんですよ。
──どのような工程で作られているのでしょう?
1日目に生地を仕込み、それを2日目に焼いてチョコレートクリームをはさみ、丸い形に切ります。3日目にクッキーの周りにチョコレートをつけて袋詰めし、ようやく完成です。
1枚1枚ていねいに手作りしている 【画像提供:杜の都のチーズケーキ工房yuzuki】
クッキー生地は薄いので割れやすく、クッキーを手で回転させながらチョコレートをつけるなど、繊細な作業が多いんです。
仙台デリースは2枚合わせても1㎝に満たないほどの薄焼きのクッキー
──「仙台デリース」が出来上がるまでには、多くのプロセスを経ているのですね。お客からの反応はいかがでしたか。
ありがたいことに、「サカロフの味を受け継いでくれてありがとう」とよろこんでいただいています。
──それだけ多くの人に愛されたお菓子だったことと、yuzukiが真摯に味を引き継いできたことがうかがえますね。
サカロフだけじゃない!yuzukiのチーズケーキもおすすめ
──現在、yuzukiの商品はどのようなラインナップになっていますか。
まずは、一番人気の「お月様チーズケーキ」です。4号から6号ホールサイズで、yuzuki開店当時から製造・販売しており、店の原点ともいえる商品です。お誕生日や、敬老の日などのお祝いで買われていく方も多いですね。家族や友達同士など数人でシェアして食べられるのでお祝いの席におすすめです!
お月様チーズケーキ(4号~6号サイズ2268円~4536円)
──「お月様チーズケーキ」の特徴を教えてください。
オーストラリア産最高級のクリームチーズ、サワークリーム、そして濃厚でコクがある乳脂肪分45パーセントの生クリームをふんだんに使っています。味は甘さ控えめにして、くどくならないようにしています。
──濃厚でコクがある味わいはそのおかげだったのですね。製法で工夫されている点はありますか。
水蒸気とともに焼き上げる「湯煎焼き」という製法をとっているので、しっとりとした食感が持ち味です。
──確かに。今まで食べたチーズケーキと比較して、チーズの味が濃厚でコクがあり、ぜいたくな気持ちになりました。濃い目のブラックコーヒーと合わせると、なおさら美味しさが引き立ちました。
筆者も家族でお月様チーズケーキをシェア
そして「スティックタイプ」のチーズケーキ。こちらはプレーン、ブルーベリーなど10~12種類あります。塩、トマト、チョコレートなどの限定商品もあります。
スティックチーズケーキ。写真左からプレーン、ブルーベリー(各291円~)
さらにピースの「三日月チーズケーキ」があります。6種類あるうちプレーンと北海道(北海道産クリームチーズ使用)がレギュラー商品で、常時2~3種類は店頭で販売しています。
三日月チーズケーキ(388円~)
──ショーケースを見るとシフォンケーキも製造・販売されているのですね。
ショーケースに並ぶシフォンケーキ(248円~)
はい。チーズケーキの製造過程で残った卵白を有効活用し、シフォンケーキを製造・販売しています。米でんぷんが入っているのでもちもちした食感が特徴です。
キャラメル、ココア、バナナ、抹茶など10〜12種類をラインナップ
──一番人気のシフォンケーキを教えてください。
人気No.1は「ずんだ」で、材料は宮城県産の枝豆を使っています。
シフォンケーキ人気No.1はずんだ味
毎年夏、炎天下のなか、4〜5日かけて収穫した枝豆を潰す作業をし、1年分のずんだの材料を作ります。できるだけ地元の物を使いたいと思い、小麦粉も県内産です。
ずんだ味のシフォンケーキはもちもちとした食感で、枝豆の味がしっかりとしている
杜の都のチーズケーキ工房「yuzuki」開店のきっかけ
写真右側の棚には主にサカロフの商品が、ショーケース内にはチーズケーキが置かれている
──yuzukiがオープンするまでのいきさつを教えてください。
15年ほど前、私が国分町で飲食店を経営していた時、叔父が趣味で作っていたチーズケーキをデザートとして出していました。それを食べたお客さまから「おいしい」「チーズケーキのお店を開いてみたら?」といった好評の声をたくさんいただいたことがきっかけです。
──なるほど。
そこで現在の店舗がある土地の敷地内に工房を作り、インターネット販売を始めてみたところ、地元テレビ局に紹介していただき多くの問合せが来るようになりました。それから、仙台の百貨店で3年ほどテナント出店した後、現在の場所に店舗もオープンしました。
──飲食店で提供していたデザートから始まったのですね。『yuzuki』という店名はどのような由来でつけられたのでしょうか?
yuzukiは当初、6号サイズのホールケーキからスタートしました。実店舗ができる前に飲食店のデザートとしてチーズケーキを出していた頃、お客様より「心も体も癒してくれるお月様のようなチーズケーキだね」とのお言葉をいただきました。そのとき、「お客さまにチーズケーキを食べて“癒”されてもらいたい」という願いを込め、「癒月(ゆづき)」という造語が浮かんだんです。漢字だとカッチリとしたイメージなので、英語表記で柔らかく『yuzuki』と名付けました。
お月様のイメージのホールケーキ
──思いがこもった素敵な名前で、表記も漢字より親しみやすいですね。最後に、yuzukiの今後の展望を教えてください。
お客さまと長くお付き合いできるよう、クオリティをおとさないように商品を作り続け、サカロフの味を守り続けていきたいです。
サカロフの商品「クロカント」のディスプレイ。レトロな雰囲気
yuzuki店内での取材中、店にはひっきりなしにお客がチーズケーキなどを買いに訪れていた。そして、佐藤社長はじめ従業員のみなさんが一人ひとりに笑顔で明るく声をかける姿が印象的だった。
商品のクオリティの高さはもちろんのこと、気持ちのよい接客がお客を惹きつけているのだろう。サカロフの商品はもちろん、思いがこもったyuzukiの味を一度食べてみてはいかがだろうか。
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『杜の都のチーズケーキ工房 yuzuki』
・住所:仙台市太白区東大野田2-27
・TEL:022-707-2827
・営業時間:10時00分~18時30分(日曜、祝日は10時00分〜18時00分)
・定休日:木曜日 (祝日の際は営業)
※営業時間・定休日は変更となる場合あり。来店前に店舗に要確認
・駐車場:あり
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この記事を書いた人
鈴木千絵
仙台育ち・在住。「書く」ことがライフワークと思っている、会社員です。趣味は旅行やドライブです。大好きな仙台の魅力的なスポットを深堀りし、発信していきたいです。
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