【仙台】づんだ餅発祥の店・村上屋餅店|140年の歴史や、味へのこだわりを徹底取材
JR仙台駅から徒歩15分ほどの場所に、明治時代から営業し続けている餅店がある。その名も「づんだ餅発祥の店・村上屋餅店」。
140年以上にわたって営業する老舗ながら、今なお幅広い年齢層に愛されており、店の前に行列ができることも珍しくない。
今回は村上屋餅店を取材し、その歴史やづんだ餅のルーツ、こだわりなどを詳しく聞いてきた。
村上屋餅店へのアクセス
「村上屋餅店」の住所は仙台市青葉区北目町2-38。最寄り駅の仙台市地下鉄「五橋駅」からは徒歩10分ほどだが、JR仙台駅からも徒歩15分の距離にある。
JR仙台駅から徒歩で行く場合はあおば通や南町通を西へ進み、東二番丁通とぶつかったらそこから道なりに南へ。

左手にSS30、右手にウェスティンホテル仙台が立つ大通りを直進

仙台中央郵便局が見えたら、セブンイレブン北目町通店を右折し北目町通へ

突きあたりの丁字路(ローソン)を左折するとすぐそこだ

「餅」の字が目印
今回は、村上屋餅店4代目店主・村上康雄(むらかみ・やすお)さんと一緒に店を切り盛りする、妹の村上紀子(むらかみ・のりこ)さんにお話を伺った。
創業明治10年!村上屋餅店のルーツ
村上屋餅店の歴史は古く、今から140年以上も前である。「村上屋餅店」として創業したのはなんと1877(明治10)年。さらに遡ると、村上家の初代にあたる村上孫左衛門と二代目の孫三郎は、江戸時代に仙台藩伊達家の御用菓子司であったそうだ。
今でこそ仙台市民のソウルフードともいえる「づんだ餅」だが、起こりは伊達氏が陣中の食糧にと畑の枝豆をつぶして餅と混ぜ合わせて食べたことと言われている。これを初めて商品化したのが村上屋餅店・三代目の精次郎だったことから、同店は「づんだ餅発祥の店」と呼ばれている。

今の北目町に引っ越してきたのは1982(昭和57)年。以前は一番町に店舗があった

「づんだ」の由来は諸説あるが、豆を打って作る「豆打(づだ)」がなまって「づんだ」になったのだという。
素朴でおいしい餅を提供し続けるためのこだわり
明治から続く老舗ながら、今なおたくさんのお客から愛され続ける村上屋餅店。こだわりについて伺った。

――お餅が主役ということですね。お餅にはどのようなこだわりが?


店内では、みやこがねで作った切り餅も販売
店主自ら米を食べ歩き、これと決めた品種なのだそう。では、店の看板メニューである「づんだ」についてはどうだろうか。

枝豆の薄皮を取らない方が餡の量は増え、手間も圧倒的にかからない。しかも薄皮は一度に取りきれないので、何度も何度も繰り返し洗い流す必要があるそうだ。かといって長時間水に漬けておくと豆の味が抜けてしまうので、短時間でこなさねばならない。
このような手間をかけてこそ、見た目にも美しく、なめらかな口当たりの「づんだ餅」が完成するのだとか。

手間暇かけて作られている

――店づくりのコンセプトは、代々変わってきていますか?

こうした考えから、餅の作りおきもしないのがポリシーだそう。一度にたくさんは作らず、なくなりそうになったらまた餅をついて、切る。これが昔から続く村上屋餅店のこだわりだ。
SNSが流行し始めてから若い世代のお客が急増
店内にはテーブル席が3席(4人席がふたつ、2人席がひとつ)用意されており、イートインも可能。

壁には有名人のサインがずらり!
――休日にはかなりたくさんのお客さんが並んでいますよね。


イートインとテイクアウトで列を分ける看板が用意されている
紀子さんによると、以前は近隣に住む比較的年齢の高いお客の来店が多かったが、SNSが普及してからは若い世代が急激に増えたそう。
休日になると、小さな子どもを連れたファミリーや、学生など比較的若い年代のお客が店の前に列をなす。多い日には、1日に500人前以上の餅を作ることもあるそうだ。
イートインの一番人気は、いろいろ食べられる「三色餅」

各席に置かれているイートインメニュー
イートインでは、3種類の餅をひとつずつ食べられる「三色餅(740円/税込、以下同)」が一番人気。これは20~30年ほど前に、「一度にいろいろな味の餅を食べたい」というお客のニーズを汲み取り、メニューとして誕生した。

左からごま・づんだ・くるみ。箸休めのお新香がついている


単品の餅メニューには餅がみっつ入っており、そこそこボリュームがある

ところでこの三色餅、見本では「ごま・づんだ・くるみ」の三色構成だが、実は餅であれば変更が可能。づんだ・くるみ・ごま・つぶあん・こしあんの5種類があり、「づんだ、くるみ、こしあん」のように入れ替えてもよし、「づんだをふたつにごまをひとつ」と数を変えてもよしなのだ。
とはいえ悩んだ結果、見本通りの3種類を頼むお客が圧倒的に多いそう。筆者も、見本通りの三色餅を注文してみた。

ごまの美しいツヤツヤ感!

くるみもとろーりなめらか♪

づんだは枝豆の自然な緑色が特徴
食べてみると、ごまとくるみは比較的甘め、づんだは甘さ控えめでその分枝豆の風味が生きている印象だ。どの餡もかなりとろりと柔らかく、餅とからめながら食べても多くが皿に残ってしまった。

――なるほど、だからこそのスプーンだったのですね。

――それぞれの味の特徴を教えてください。

――たしかに、ごまとくるみは甘めですが、づんだはそこまで甘くないですね。


夏限定でかき氷も販売している。販売期間は、涼しくなったら終わりだそう
「いちごミルク(630円)」や「宇治金時ミルク(810円)」といった定番メニューが売れ筋だそうだが、なかでも目を引くのが「づんだミルク(820円)」。いったいどのようなものなのか、頼んでみると……

たっぷりの氷の上にこんもりとづんだ餡!

中にはたっぷりのミルク。下の方にもづんだ餡が入っている

実際に食べてみると、思いのほかかき氷とづんだ餡がうまいことマッチングしている。シャリシャリとしたかき氷と、なめらかなづんだ餡との食感の違いが楽しめるのだ。それになんといっても食べごたえがあり、贅沢感を味わえる。
やや甘めに作られているという餡とたっぷり入ったミルクのおかげで、どこから食べてもしっかり甘くスイーツ感があるのも嬉しい。
テイクアウトでも一番人気はやっぱり「づんだ餅」
ショーケースに並ぶテイクアウト用メニューもすべてイートイン可能。テイクアウトでも人気なのは圧倒的にづんだ餅だが、イートインと違って三色餅はラインナップしておらず、「3個入り1人前」からしか注文できない点に注意が必要だ。また、支払いは現金のみとなっている。

テイクアウトの餅は3個単位で販売

おはぎはひとつから注文可
基本的には通年で販売するメニューが多いが、笹の葉で水まんじゅうをくるんだ「笹のしづく」の一部は夏限定での販売となっている。

左から夏限定の「みかん(220円)」と「マンゴー(200円)」
もっちりとした水まんじゅうの中に、みかんはごろっとまるごと、マンゴーも果肉が入っており、爽やかななかにも食べごたえがある。

ほんのりと笹の香りがするのも風流でグッド◎
暑い時期にかぶりつきたいお菓子といった印象で、手土産に持っていったらよろこばれそうだ。
また、11月から5月頃にかけて期間限定販売する「いちごミルク大福」は非常に人気があり、スタッフのなかにもファンが多いそう。中には大粒のいちごがまるっとひと粒入っており、いちごの周りには白あんと生クリームが。それをいちごのリキュールが入ったお餅でくるむのだそう。
見た目にもかわいらしく、お土産としても人気なメニューなので、時期がきたらぜひゲットしたい。
――今後のお店の展開などについては?

140年以上続く老舗だけに閉店してしまうのは非常に残念……。今のうちに何度も足を運んでおきたい。
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・住所:仙台市青葉区北目町2-38
・TEL:022-222-6687
・営業時間:9時00分~18時00分(ラストオーダー17時45分)
・定休日:月曜日、火曜日
・最寄駅:仙台市地下鉄「五橋駅」
この記事を書いた人

岩崎尚美
仙台を拠点に活動するフリーライター。生まれも育ちもだいたい仙台です。仙台の魅力をお伝えするため、頑張ります!